魔の柱、森の如くに
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めた頃、定期的に入れていたアサシンへの念話に異変があった。
互いの現在地を報せ合うための定時連絡だ。こちらが伝え、切嗣が答える形だったのに――反応がない。
(――――)
応答がない。
「……アサシン?」
(――――)
異常事態だ、と瞬時に士郎は判断した。
すぐオルタとアルトリアにバイクを止めさせる。
アサシンからの応答が失せたと伝えると、緊張が深まる。
(――――い)
「! ……アサシン?」
(すまない。しくじった。僕はここでリタ――)
ぷつん、と念話が途絶える。士郎は驚愕した。切嗣がしくじるとは、何があった?
士郎は首に下げていた計器をはずした。前方を走るドゥン・スタリオン号を操縦するアルトリアの後ろにいるネロに計器を投げ渡す。
「シェロ、これはなんだ?」
「自身と契約するサーヴァントとの念話を可能にする装置だ。ネロ、アタランテに伝えてくれ。アサシンが消滅した」
「!」
空気が電撃を帯びる。士郎は最後に互いの位置を確認した時と、移動距離と時間経過から割り出した、アサシンがいただろう地点を予測し、その座標をネロに伝える。
ネロは頷き、アタランテに連絡したようだ。
暫く移動を停止し、アタランテからの報告を待つ。
「……アタランテからの報告だ。何もないそうだぞ」
「……」
「ただ、何か巨大な、円形の穴が空いていたらしい」
「巨大な……穴?」
「うむ。まるで錨のようだとアタランテは――」
――瞬間、大地が激しく振動した。地震? こんなタイミングでそれはあり得ない! ならば、
「アルトリア!」
「下です!」
言葉短く叫び返してきた言葉を認識するや、士郎は即座にオルタに合図した。ラムレイ号が急発進する。黒弓に螺旋の剣弾を装填する。
アルトリアが愛機より離れ、聖剣を構えて厳戒体勢に移った。
やがて地面が大きく盛り上がり、地中からおぞましい肉の柱が飛び出てくる。
「――」
円柱のような、肉の塊。
幾筋もの赤い裂け目が心臓のように脈打ち、無数にある黒緑色の魔眼の奥から、歪な瞳孔が開ききっているのが見えた。
膨大な魔力。優にサーヴァント数騎分もの力を内包した異形の柱。
それが、まるでこの特異点に投げ込まれた錨のようで――
士郎達は、戦慄と共にそれを見上げた。
――魔神柱、出現。
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