麗しの女狩人
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、アルトリアが居たたまれなさそうに立ち位置をズラした。唯一、オルタだけは怪訝そうに首を傾げ、俺達が微妙そうな顔をしているのに疑問を持った。
小さな声でマシュに訳を訊ね、事態を把握したらしいオルタは堪らず吹き出してしまう。
幸い、それには気づかず。ネロは上機嫌に頷き、鷹楊に腕を組んで肯定した。
狙い通りのヘラクレスでなかったからと落胆せず、嫌みなく応えられるのは流石だった。
「うむ! 余がそなたのマスター! で、ある!」
「うん。よろしく頼む。私のクラスはアーチャー、真名はアタランテだ」
「おお! カリュドンの猪退治にて名を馳せた麗しのアタランテだと!? 流石は余であるな!」
余もやるものであろう! こちらを振り向くネロは満面の笑み。俺は曖昧に頷いて、案の定、フランスでスルーさせて貰ったアタランテらしい女狩人の視界から逃れようとした。
が、無駄だった。アタランテは目敏くこちらを発見し、何を思ったのかツカツカと歩み寄ってきて――
ひたり、とその両手で俺の顔を挟み、こちらの目を覗き込んできた。
「な、何かな……?」
「汝は今、私に後ろめたさに似た感情を向けたな。なぜだ?」
「別に後ろめたくなんてないぞ。本当だぞ。やむにやまれぬ事情があって、君に似た女性との遭遇を避けたことがあるだけだ」
「……嘘ではないようだが……なにか、はぐらかされた気がする」
言ってることは本当である。嘘なんて欠片もない。あのフランスのアタランテと、ここにいるアタランテは、英霊という存在からして厳密には違う個体だ。
アルトリア? コイツは特例である。
クー・フーリンも記憶は曖昧みたいだし、直接会ってもいない俺のことなんてアタランテが覚えてるわけがない。
故に俺は嘘をついてない。高度な嘘というのは、逆に真実しか言わないものなのだ。果たして、どこか納得のいってない様子のアタランテも、訝しげにしながらも離れてくれた。
また女難が仕事をしたようだが、なに、この程度はどうということもない。桜ほどの地雷はそうはいないものである。女難限定地雷撤去班の班長とまで言われたことのあるこの俺が、こんな見え見えの地雷に引っ掛かるわけがないのだ。
アルトリアが口許を手で覆った。
「シロウが、シロウのやり口が手慣れすぎてますっ。やはりシロウはこの十年の間に変わってしまったのですね……」
オルタが興味深そうに相槌を打った。
「十年か。その間、シロウが何をしていたのか、知る必要がありそうだ。ダ・ヴィンチに便宜を図らねば……」
……それら全てを聞こえなかったフリをして、俺はそっぽを向いた。
頻りに首を傾げながら、アタランテは再びネロに歩み寄った。
「すまない。マスターを蔑ろにしてしまった」
「構
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