テロリストは斯く語りき
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カい敵を、デカいが故に見落としてしまっていた。
「俺達は六人でもう一つのローマに挑む。ランサー。クー・フーリン。
あんたは。
一人で。
カエサルというローマと戦え」
「――は、」
軋むように、嗤う赤枝の騎士。
「俺達は敵本丸に乗り込み、神祖ロムルス単騎と戦う。その間、カエサルが邪魔だ。カエサルと、ローマ全てを、神祖から切り離すヤツがいる。――それをあんたに任せる。敵はローマ。世界の中心だ。それと、一人で、あんたに戦えと俺は命じる」
「――はっ。ははは。ははははははははははは!!!!」
クー・フーリンは腹を抱えて笑った。
大いに笑った。これ以上なく爆笑した。
――わかってる! やはりこのマスターはオレの使い方をよくわかってやがる!!
「いいねぇ、いいぞマスター! その命令確かに承ったぜ! たまらねぇ、たまらねぇなぁ! オレに世界と戦えと来たか!」
こいつはバカなのか、それともとんでもなく豪胆な指揮官なのか。ああどちらでもいい、やはり振り切れたバカとつるむのは楽しいもんだ!
笑い転げていたクー・フーリンは、しかし次の瞬間には真剣な顔つきとなった。片膝を地につき、槍と盾を置いて顔を伏せた。それは臣下の礼だった。
マスターとサーヴァントではない、本当の主人として、クー・フーリンは士郎を認めたのだ。
「アルスターの赤枝の騎士、クー・フーリン。これより我が槍は御身のもの。如何様に振るうも我が主人の意のままに。命令を、マスター! いつでも出撃の覚悟は出来ている!」
「――槍を預かる。代わりに俺の命運を預ける。行け、派手に戦い、力と知恵と勇気の限りを尽くして、ガイウス・ユリウス・カエサルを打倒しろ」
「承知!」
立ち上がり様、クー・フーリンは槍を掲げた。空に向けて大音声を張り上げる。
さあ兄弟! 出陣の命が下った! オレの往く道にテメェらがいないんじゃ話にならねぇ! 往くぜ、往くぜ、往くぜぇ!
轟く豪炎。
光の如くに眩い炎が起こり、その中から二頭の竜馬が駆け出でる。
黒塗りの鋼鉄戦車を牽き、手綱を握るのは御者の王ロイグ。戦車を牽く竜馬は馬の王と称えられた灰色のマハ、黒色のセングレン。クー・フーリン生誕より、死ぬまでを共に駆け抜けた希代の名馬。
革鎧と、赤いリネンのローブを纏った大男は、無言で己の胸を叩いて戦友の主人に礼を示し、仕草だけで戦車に乗るようにクー・フーリンに促した。
ははっ! 高揚するままに乗り込み、クー・フーリンを乗せた戦車は走り出す。炎を纏った羅刹の戦車は見る見る内に遠ざかる。クー・フーリンはこれ以上何も言わず、背を向けたまま槍を掲げて勝利を約した。
「――シロウ」
呼ばれ、士郎が振り返
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