全滅の詩、語れ薔薇の皇帝
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
能だ。分かるな、二人とも。ネロ帝は絶対に死なせるわけにはいかない、彼女の死は俺達の敗北を意味する」
鉄を噛むような心地で言い切り、俺はマシュを見る。
マシュは、パッと顔を輝かせた。
「繋がりました! カルデアとの通信が復活しました!」
『ああっ! やっと繋がった! マシュ、士郎くん! 無事かい!?』
「ロマニ!」
俺は食いつくようにして怒号を発する。気を呑むように激しく、反論を許さぬように。
「大至急、手配してほしいことがある。頼めるか?!」
『えっ?! あ、ああ! なんでも言ってくれ! 出来ることならなんでもする!』
「よし、なら技術部に言え、聖杯の解析は後回しだ、すぐに使うように指示しろ!」
『ちょ、ええっ?!』
ロマニが驚愕したように声を張り上げた。そんなむちゃくちゃな! 何があるかわからないのに、そんなことはさせられない! と。それは道理だ。
だが、
「四の五の言ってる場合じゃないんだよ!!」
血を吐くように怒号する。そして今、俺達の置かれた状況を教え、何がなんでもネロを死なせるわけにはいかないことを伝える。
そのために、聖杯を使わねばならない。
ネロを蝕んでいる聖杯を使った呪いに立ち向かうには、同じく聖杯を使うしかなく。これからの戦いを思えば、とてもじゃないがネロを単独で動かすわけにはいかない。
故に、だ!
「ネロを聖杯で治療後、聖杯でネロをカルデアの職員だと世界に誤認させ、カルデアのマスターとして運用する!」
『はあっ!? そんな無茶な!』
「無茶でもやらなきゃ世界が滅ぶ! 特異点が修正されればネロ帝の不在もなかったことになって、カルデア職員のネロは残り続けるだろうさ!」
『それは!? それがどういうことかわかってるのか、士郎くん!!』
「わかってる! 悪魔でも鬼畜でもなんとでも呼べ! 俺個人の呼び名よりも、人理を守護する方がよっぽど大事だろうが!! ええ、違うか!?」
違わない、違うはずがない、故に俺はロマニに頼むのだ。これからのために。
「ネロ帝をマスターに設定し、クー・フーリンをサーヴァントとして付ける! とりあえず、今は治療だけでいい。ネロ帝が起きたら説得する。俺達と共に戦ってくれと。身勝手にも、自分を捨ててくれと!」
聖杯で、カルデアのマスターを一人増やす。
悪魔的な発想だった。最低の、外道の考えだった。
だが、これ以上ない効果を望める起死回生に繋がる策でもあった。
ネロ帝は、恐らくこの悪魔の契約を結ぶだろう。
例えカルデアに生身のネロが加わっても、人理が修復されるとネロは『いる』ものとして歴史は進む。世界の修正力とはそういうものだ。
説得できなければ、諦める。無理強いしても意味がないから。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ