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人理を守れ、エミヤさん!
全滅の詩、語れ薔薇の皇帝
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て虜囚の辱しめは受けないなんて言ってね。現時点では『自称』ネロ帝だが、僕を敵と見るなり自害しようとした点から信憑性は高いと判断した。かの騎士王が女だったこともある。ネロ帝が実は女でしたというのも必ずしも否定できたことではないと踏んだまでだ)

(…………)

 一々尤もである。歴史の真実には頭の痛くなることが多々あるが、これがはじめての経験というわけでもなかった。
 まあ問題は、だ。切嗣がネロ帝を捕縛し、縛り上げて近くまで運んできた後、それを持ってアルトリアらの前に運んだのはこの俺だということだ。
 嫌に冷たい眼差しのアルトリア。ジト目のマシュ。冷ややかに薄い笑みを浮かべるオルタに囲まれては、さしもの俺とて動揺せずにはいられない。
 俺は咳払いをして、声を震えさせないように意識しながら本題に入る。

「……俺のサーヴァントが、この場にいる者の他に一人いる。クラスはアサシンだ。そのアサシンが彼女を発見し、拘束。俺に処断を任せるために運んできたらしい」

 と、ここまで言って、反応を窺う。

「……では、どうして彼女に見惚れていたのでしょうか」

 ぐさりと刺してきたのはオルタだった。俺は俺の全知全能を懸けて応える。なぁに、こういう修羅場を幾度(いくたび)も捌いて不敗を貫いてきたのだ。問題ない。

「この女性の顔立ちが、どことなくアルトリア達に似ていたからな。拘束されてる姿に倒錯的な魅力を感じたんだ。すまない、不躾な視線だった」
「っ……」

 アルトリアとオルタはその遠回しな誉め言葉に攻め気を鈍らせた。
 実際、ネロ帝らしい女性の顔立ちはアルトリアに良く似ていた。しかし武人ではないためかどこか丸みを帯び、印象にも少々の灰汁があるように思える。

 二人の反応を受けて、よし、いける――と、思ったら。今度は伏兵に横腹を刺された。マシュだ。ジト目のまま少女はぼそりと呟いた。

「……でも先輩、胸見てましたよね。似ても似つかない部位です」

 カチン

 アルトリアとオルタの目が、ネロ帝の胸部に向けられる。横向けに倒れているためか、腕に挟まれぐにゃりと形を歪めている豊かな双丘――凍りついた空気の中、俺の心眼はこの場に残された唯一の活路を導き出す。間を置かず瞬時にそこに飛び付いた。

「――彼女の名をアサシンは聞き出している。ネロ・クラウディウスというらしい。言うまでもなく、この時代の中心人物と言っても過言ではないだろう」
「……ネロ帝ですって?」
「彼女がですか」

 その名を出すと、アルトリアとオルタの目から私情は消えた。

 危機は去った。くだらない危機だったが、チーム瓦解の地雷でもあった。上手く回避できてよかったと心から思う。
 頭を振り、俺も思考から弛んだものを絞り出す。戯れ合い、互
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