敗将、枯れた赤薔薇
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やら予断を許さないらしい。あんまりのんびりとはしていられないぞ」
「もとより速攻こそが本分でしょう。むしろ除くべき異常が明確なことを喜ぶべきだ」
不遜なオルタの物言いに、俺は少し緊張が緩まる。
なるほど、物は言いようだなと頷いた。
確かに聖杯を探し、歴史を修正するために東西南北を駆けずり回るよりはいいかもしれない。
発覚した問題が手に負えるかどうかは別として。
「……」
暫し沈黙し、俺は首を左右に振った。どうするべきか一通り考えたものの妙案と呼べる閃きはなかった。
聖剣であの大樹を焼き払いながら進むのもいいが、その場合、俺の魔力の方が先に尽きる。他の手段はなにもない。なにせ、相手がシンプルに過ぎるのだ。
単純に、規格外の質量を拡大させ続けている。それだけだ。それだけだから取れる方策が限られてしまっている。
……ダメだな、まるで思い付かん。
俺は一旦思考を破棄し、脳裏に描いていた策の全てを白紙に戻す。
「……とにかく、さっさとクー・フーリンを召喚しよう。話はそれからだ」
マシュの盾に呼符と触媒をセットする。後はシステムを作動させるだけだが……そこで、またしても待ったがかかった。
(少しいいか)
それは切嗣だった。今度はなんだ、とうんざりしかけた俺に、彼はまたしてこの特異点での大殊勲を挙げたことを報せてくれた。
その報せは、特異点修復のために欠かせないピース。
計らずも手に入った最初で最後の希望だった。
(ネロ帝を保護した。こちらを見るなり短剣で喉を突き自害しようとしたから無力化し、意識を奪ってある。指示を仰ぎたい)
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