01話 プロローグ
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「こんちは栄一。いやぁ、久しぶりだね!」
靴を片方ずつ両手に持って、なぜか窓から二階にある部屋の中に入ってきたのは、朝霧志陽という名の青年だった。部屋の主である人物に挨拶をしながら、自然な様子で部屋の中に足を踏み入れる。
その部屋の壁には、アニメやゲームに登場する美少女キャラクターのポスターが貼られていて、本棚の中には漫画がギッシリと。ゲーム機やソフトケースが床の上に乱雑に置かれていた。いわゆる、ひと目見てオタクの部屋だと言えるような構えの部屋だった。
「志陽。家に来るんなら、ちゃんと玄関から入ってこいって。いつも言ってるじゃないか!」
「いや〜、ごめんごめん」
部屋の主である朽葉栄一が、当たり前のように窓から入ってきた志陽を軽く非難した。窓から入ってくるんじゃなくて、玄関から家に入ってくるのが当然の常識だと説く。
「近所の人に見られでもしたら、何か言われるのは僕なんだから」
「大丈夫だって、誰にも入る姿は見られてないから」
胸を張って、そう言い切った志陽。本当にこれっぽっちも見つかるなんて可能性は無い、と断言していた。
「まぁ、志陽がそう言うんなら本当に見つからないんだろうけど。気分的に心配になっちゃうから」
「わかった、もっと注意して誰にも見られないようにするよ」
「いや、普通に玄関から入ってきて欲しいんだけど……」
あまり悪びれたり反省する様子もない志陽に、普通じゃない方法で部屋の中に侵入された栄一の方が諦めてため息をつく。
何度か注意しているけれど、直そうとする気配は一向に無い。ただ志陽が、自信満々になって見つかる事は無いと言いきっているから、本当に見つかる可能性は無いのだと理解していて、それ以上は言わない栄一であった。
「はぁ……それで。久しぶりって言うことは、またどっか行ってたの?」
今日も朝から学校で一緒に授業を受けていた、今は放課後。学校で顔を合わせてもいたので、久しぶりという言葉は本来なら相応しくないだろう。
だがしかし、志陽が”久しぶり”という言葉を口にする事情を栄一はよく知っていた。だから、何処か行っていたのかと尋ねる栄一。志陽は肯定する。
「そう、さっきね。はいどうぞ、お土産」
「これは?」
志陽は両手に持っていた靴を懐にしまってから、代わりに何かを取り出してソレをハイと栄一に渡した。栄一が受け取ったのは、透明で細長いガラスの中に液体が入っている、ワインボトルよりかは一回り小さい瓶であった。
そして中に入っている液体は、緑色で薄く光っているようにも見える蛍光色。それが何なのかを志陽が説明を加える。
「ポーション。前にやってたゲームで飲んでみたいって言ってたでしょ?」
「まぁ
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