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アイテム収集家の異世界冒険話
01話 プロローグ
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言ったけど」

 以前プレイしていたゲーム、そしてポーションという言葉を聞いた栄一は、とある超有名なゲームタイトルを思い出していた。

 志陽が贈り物について説明をしながら別のもう一本を懐から取り出してくると、封を切った。そして説明を聞いていた栄一の方に向けて、差し出す。

「じゃ乾杯」
「うん乾杯」

 二人は乾杯の言葉と共に手に持った瓶をチンと合わせて、飲んでみた。志陽にとっては飲み慣れた薬だったので軽く一気に飲み干したが、栄一は初めて口にしてみて想像していたモノとは違った味に顔をしかめていた。

「うぐっ……。コレがポーション……。本物は、やっぱり苦いな」
「まぁコレは、回復薬だからね」

 以前に栄一は、商品化されたこともある清涼飲料水のポーションという名の付けられた飲み物を買って飲んだことが有った。その時の事を思い出していたが、あの時に飲んだアレと比較してみると違う全く味だった。

 本物はもっと草っぽい青臭い味に渋みがあって、舌の先に強烈な苦味を感じる。喉も飲み込むのに拒否反応を示して吐き出しそうになっている。

 しかし栄一は吐き出さず、なんとか頑張って飲み込んで液体は胃にまで到達。その瞬間に、体がとても軽くなったような気がした。口にするだけで自分の体の変化が分かるほどの効果を発揮する飲み物。それが本物だという証明のように栄一は感じていた。

「他に欲しいのがあるなら、例えばマテリアとかもゲットして用意してあるよ。この魔法マテリアならダブってるから、お土産としてプレゼントしてあげようか?」

「バカ。僕が貰っても使いようがないだろうに。どうせなら、リボンとか指輪とか身に着けるだけで効果があるアクセサリー装備とかの方が良いよ」
「リボンならあるよ、ほらあげる」

 あの世界のアイテムと言えば。プレイしていた頃の記憶を思い出して、冗談半分で言ってみた栄一の言葉に、志陽は即座に反応すると収集してあったリボンを本当に懐から取り出してきた。それをホイと気軽に、栄一へプレゼントする。

「うわ、マジで持ってるの? でも、これは男の僕なんかには似合わないよ」
「クラウドは、普通に身につけて冒険してたけど」
「えぇ、マジ?」
「うん。マジ」

 手元にある少女趣味全開というような赤い蝶々型のリボンを見つめながら、金髪のチョコボ頭にコレを身に着けている主人公の姿を想像した栄一は笑った。

「それで、今回はどんな冒険だったの?」
「いやぁ、それがけっこう大変だったんだよ」

 お土産を貰って、それなりに興味が出てきた栄一は冒険話を聞きたくなって、そう尋ねた。

 興味を持ってくれた栄一に、いつものように志陽は語り始める。今回の、ファイナルファンタジー7の世界で旅をしてきた時の話を。
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