いい加減に士郎くん!
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手、その指先を見遣る。――微かに黒ずんでいる親指を。
バイクを停車し、セイバーがひらりと鋼鉄の馬から降りる。マスターも停止し、サイドカーから二本のカリバーンを抜き取って投げ渡した。
彼女に繋がるパスに魔力を通す。
カルデアからマスター、マスターからサーヴァント。供給される魔力に不足はない。ただ、流れていく魔力によって魔術回路が疲弊するだけのこと。
ん、と声をあげ、魔力を感じるセイバー。
迫り来る海魔とワイバーンに目掛け、光輝く黄金の剣を突き出した。
「選定の剣よ、力を。邪悪を断て――勝利すべき黄金の剣!」
閃光が閃く。解き放たれた光が敵軍勢の中心に突き刺さり、光を散らすように爆発した。
やはり凄まじい火力である。魔力はカルデアが負担してくれているとはいえ、それを通しているマスターの魔術回路が悲鳴をあげていた。
尋常の魔術師なら心が折れかねない痛みがある。しかしまあ、この程度は特に堪えない。マスターは冷静に海魔とワイバーンが壊滅したのを見届けた。
「……予想通り討ち漏らしが出たな」
「ええ。なのでもう一度――勝利すべき黄金の剣!」
敵の第一陣と、二本の選定の剣は塵一つ残さず消え去った。地形もえらいことになっている。まるで弾道ミサイルでも着弾したかのような有り様に、しかしこれといった感慨もなく。マスターとサーヴァントはバイクに跨がり、再びオルレアンに向けて走り始めた。
「……なにあれ」
呆気に取られたように、オルレアンで待ち構えていた竜の魔女は呟いた。
バーサーク・アーチャーを伏した森を迂回し、一直線にこちらに向かい出した時は伏兵を見抜かれたことに敵も相当の智者だと歯噛みしたものだ。
意味もなく戦力を森に置き続ける意味もないし、単独で仕掛けさせれば無駄死にさせるだけなのは目に見えていたため、アーチャーに奴らの背後を突かせるようなことはせず帰ってくることを念話で命じていた。
後はアーチャーの合流を待って、新たに召喚したバーサーカー・ランスロット、バーサーク・アサシンのシャルル=アンリ・サンソン、ファントム・オブ・ジ・オペラと、切り札のファヴニールを使って決戦を挑むつもりだったのだ。アーチャーが合流してくるまでの繋ぎとして、海魔とワイバーンは使ったにすぎない。
嫌がらせ程度の戦力だ。雑魚を一掃するために聖剣でも使って消耗してくれたら御の字と思っていたのだが。
「えっ。なにあれ。ほんとなに? ねえジル、私の頭おかしくなっちゃったの? なんか、同じ宝具を幾つも持ってるように見えたんだけど」
「そのようですねぇ」
呑気にも聞こえる声で応じたのは、筋骨逞しいローブ姿の巨漢で
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