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人理を守れ、エミヤさん!
勝ちたいだけなんだよ士郎くん!
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ンドの騎士に向かって。
 そして、殺した。

「それは」

 マシュが目を見開いた。

「そう。源義経と同じというのはそういうことだよ。彼らは当時の風習、決まりごとを無視して先手を取り続けたから勝てた。正面からの奇襲が出来たわけだからな、勝つのは簡単だったろう」

 無論、それが通じるのは最初だけ。後は己の才覚、運、味方の働きにかかっている。

「そして味方を勝利させる乙女ともなれば、フランス軍がその存在に熱狂していくのもわかる。勝利は気持ちいいからな。だが、そんなやり方で勝ってしまえば、それはもう敵方から恨まれるだろう。イングランドが何をおいてもオルレアンの乙女を異端として処刑したがったのは、ジャンヌ・ダルクがそれほどに憎かったからだ」
「……」
「ジャンヌ・ダルクが捕虜になった最後の戦い。なぜジャンヌ・ダルクが敗れたのか。それはルール破りの常習犯ジャンヌ・ダルクを相手にイングランドがルールを守ることをやめたからだ。結果的に、ジャンヌ・ダルクは自分と同じことをされて負けたというわけだな」

 さて。
 ジャンヌ・ダルクを敵とする時、以上のことを知った上で何を警戒するべきか、これで分かっただろう。

「ジャンヌ・ダルクは常識知らずだったが馬鹿じゃない。味方が有能でも、馬鹿が何度も戦争で勝てる道理はない。歴戦を経る中で軍略も学んだだろう。そんな彼女の戦術ドクトリンは極めて単純で明快なものだ。即ち、勝てば良い――まったく、気が合いそうなことだな」

 皮肉げに言う士郎に、アルトリアが一言。
 今、少しアーチャーに似ていましたよ。

 士郎はきょとんとし、次に苦笑した。それは、誉め言葉だ、と。

「警戒すべきは型破りの用兵だ。そして使われる戦術は単純で手堅い。シンプル故に破りがたい手段をとるだろう。次に相手からこちらに仕掛けてくるとすれば、戦力の拡充を果たし、確実に勝てると確信してからのはずだ」
「……でしたら先輩、すぐにでも追撃するべきだったのでは?」
「いや。あの時に追撃するのは上手くなかった。奴はまだ手札を残しているだろう。四騎もサーヴァントを従えていたんだ、まだいると思って良い。聖杯戦争なら七騎はいるはずだから、ジャンヌ・ダルクを含めても後二騎は最低でも控えている。加え、奴は竜の魔女だ。ワイバーンの大軍とサーヴァント、さらに強力な竜種がいる可能性も捨てきれない。足元も覚束ない状況で深追いすれば、痛い目を見るのはこちらだろう」

 そんな中で、アルトリアが上げた戦果はまさに大殊勲である。彼女のお陰で優位に立てているようなものだ。

「ということは、今するべきは情報収集ですか」
「できればこちらも戦力を増やしたいところですね。シロウはどうするつもりです」

 どうするか?  士郎は立ち上がり、
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