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人理を守れ、エミヤさん!
勝ちたいだけなんだよ士郎くん!
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通りして魔女を追っていた。

 夜が明けるまで影の如く追い続け、一つの城に魔女が逃げ込んだのを確認すると、暗殺者は得た情報を纏めた。

 ――致命傷から回復する再生能力。サーヴァントの追加召喚を可能にする能力。……聖杯の所有者はコイツで決まりだな。本拠地も確認、伏兵も認識。任務は一先ず完了、帰投するとしよう。








「問題だ。ジャンヌ・ダルクはどうして百年戦争時、連戦して連勝出来たと思う?」

 召喚サークルを設置し、カルデアに近況を報告したあと。焚き火をして暖を取り、携帯していた保存食を口に運びながら士郎が言った。
 同じように焚き火の前に座り、盾を円卓代わりにしていたマシュは、顎に手を当てて考えた。

「……軍の指揮が巧みだったから、ですか?」
「違う。神の声を聞くまでただの小娘だったんだぞ。文盲で、学がない少女に軍略の心得なんてあるわけがないだろう」

 まあ、後になってジル・ド・レェ辺りにでも講義を受け、ひとかどの軍略を身に付けたのかもしれない。だが結局最後まで字は読めず、学を手にすることはなかった。

「ヒントは、ジャンヌ・ダルクは源義経と同じだということだ」
「極東の大英雄と……?」
「マシュ、よく考えてみてください。答えは意外と単純ですよ」
「アルトリア、シャラップ」

 何か知恵を貸そうとしたアルトリアの口に、日がある内に射落として調理した鳥の手羽先を押し込んだ。
 はうっ、と声をあげ。次の瞬間には「んぅー」と満足そうに食べ物に夢中になるアルトリアに苦笑しながら、士郎は再度マシュに目を向けた。

「えっと……ジャンヌ・ダルクは神の声を聞いたとされています。何か、啓示のようなものがあって、そのお陰だったりするのでしょうか」
「それも違う。あまり話を引っ張るのもアレだしな、答えを言うとだ。……ジャンヌ・ダルクは世間知らずで、当時の戦争のルールを全く知らなかったんだよ」
「え?」
「そもそも百年戦争と銘打ってるが、常に全力で殺し合っていたわけではないことはマシュも知っているだろう。騎士は勇壮に戦い、しかし負けて捕虜になると身代金を払って解放される……まあ、温いと感じるかもしれないが、基本的に騎士は殺されることがなかった。殺してはならない、なんて暗黙の了解があったほどだ。なんせ殺したら自分も殺されるかもしれないからな」

 だが、ジャンヌ・ダルクはそんな暗黙の了解など知らなかった。ルールを知らなかった。日本の武士のように戦争前に口上を述べたりしなかった。
 必然ジャンヌ・ダルクは敵国イングランドの騎士を殺した。殺すことを躊躇わなかった。戦争はそういうものだと思っていたし、戦争なのだからと戦う前の口上も述べずに軍を率いて突撃した――軍から突出して口上を述べていたイングラ
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