制御困難の火竜編
005話 リューグの兄、リューガ
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? 族長が先代の十二支なんだ。
やっぱり十二支の中では竜は特別で威厳がありそうだからリーダーに選ばれやすいのかな?
もしその族長と会うとしたらなるべく自然体で、でも目上に対しての対応をしないと。
間違っても異世界なんだから対応を間違って牢屋とかに入れられたらシャレにならないしね。
私がうんうんと一人で考えている横では、
「それよりリューグ。力の制御に成功したようだし、一回組み手でもしてみるか?」
「それは構わないが…お手柔らかに頼む。今までの演習結果で三分の二以上は兄さんに負け越しているからな」
「ハハハ! ま、オレも伊達にてめぇの兄貴をしていないからな。そう簡単に負けてやれないしな」
「そうか。ふふ、腕が鳴るな。習得した力の成果を見せるよ」
なにやら話的に組み手をするみたい。
でも、当然ただの組み手じゃないんだろうなー…。
異世界で魔気なんて技術がある以上は生半可な気持ちで見学なんてしていたら飛び火で燃やされちゃいそうだし…。
「そ、それじゃ私は離れたところで見ているね?」
「ああ。その方がいい」
「うむ。火達磨になってしまったら後が大変だからな」
何気に怖い事を平然と言うリューグ。
やっぱり炎の撃ち合いでもするのかな…?
とにかく私は少し遠くに離れて二人の演習を見学することにした。
私が離れたことを確認したリューグとリューガは少し距離を置いて構えを取る。
最初はただ構えているだけなのかなとも思ったけど、次第にまだ魔気というものに理解が及んでいない私でも分かるくらいにリューグの体を緋色の漫画でよく見るオーラみたいなものが纏いだして、リューガは黒いオーラが纏いだした。
うーん……なんていうか、見ていてリューガには悪いと思うんだけど黒いオーラってなんか悪役みたいだよねと私は思った。
そしてそのオーラがついには実体化して炎が舞い始める。
「……いきますよ」
「……かかってこい」
二人のその言葉が合図だったみたい。
瞬間、二人の立っていた地面は一瞬にして陥没して二人は真ん中あたりで炎の拳を打ち合っていた。
バチィンッ!という衝突音とともに大気が振動するような衝撃が私の肌を撫でる。
遠くに離れているのに感じられるなんて相当だと思う。
「次行くぞ!」
「おおおおお!!」
それから二人は何度も拳の応酬を繰り返していて、そのたびにその場の地面は圧に耐えられなくなって沈んでいく。
しかし見たところ力は五分五分な感じなのかな?
お互いに決め手に欠けているという感じが伺える。演習なんだからそれはそうなんだけどね。
だけどそれで先に次の先手を打ったのはリューガだった。
千日手だったみたいで一回リューグから距離を取って腕に力を込めている。
「受けてみろ! 飛翔黒鱗炎舞!!」
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