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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 人類封鎖試練
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かないものに対して、そこまでの恐怖を抱くことはない。しかしこれだけ探しても要因になるだけの物がないのだ。一体何が起こって、どうなってこの事態にたどり着いた……

混乱が混乱を生み、要因がより一層の矛盾を発揮する。普通ではない、何かが起こっている異常な世界であることだけは確信できたが、ではその異常が何なのかについて掴みきれていない。もっと広い範囲で、それこそ地球全体を見渡すようにして確認しようと上空へ意識を……向ける、その寸前。電子音と悲鳴が、十六夜の耳を叩いた。何事かと音源へ視線を向け、原因であろう少女を発見する。誰にもぶつからないのをいいことに、少女を囲むようにして形成されている人の輪をすり抜けてその傍へたどり着く。

『これは……』

悲痛極まりない悲鳴故に通り魔にでもあったのだろうかと考えていた十六夜だったが、そこにうずくまる少女には何の外傷もなかった。五体満足な体で、右手を額に当てながら左手首へ視線を注いでいる。何があるのかとそちらへ視線を向けると、そこには腕時計のような電子機器。しかし時計版はなく、それに該当する部分は今真っ赤に光り、耳障りな電子音を鳴らしていたが。

ここまで組み合わされば、大まかにだが現在の状況をつかむことはできる。何かしらの作用によって手首の機械が作動し、それが少女にとって死に近いレベルの出来事だったのだ。
さて、それならばこの機械が光っていることが何を意味するのか。人垣を形成する者たちは触れてはならないものにただ視線を向けるだけだったので、なんの参考にもならない。発現することが禁忌であるような態度は、情報源となることを期待するだけ無駄だろう。彼女と楽しそうに談笑していた少女達ですら涙を流してこそいてもその態度なのだから。

であれば、注意すべきは子の少女だ。追い詰められパニックになった人間は、それ故にいくらでも情報を吐き出す。さあ、どんな言葉を紡ぐ。いかなる怨嗟を、いかなる弁明を繰り広げるのか。

「違う、違うの!私は何も悪いことは考えてない。だってこれくらい誰だって考える、ちょっとは想像することじゃない!」
「コレを考えてるのは私だけじゃなかった!誰だって考えることで、だから、だから!」
「お願いします、ごめんなさい考えました!でも考えただけなんです!」
「ちょっと想像して、それで絶対無理だって思って、でもそれでスッキリして!その程度のことなのに!」
「お願い、お願いだから許してください!助けてください!なんでもします、もうあんなことは考えません、この気持ちだって抱きません、だから、だから!」
「お願い、お願い、お願い、お願い、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん
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