暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 人類封鎖試練
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
合、確実に訪れる終末の未来です』

丁寧な口調で行われる、舞台設定の説明。今目の前に広がっている世界が何の世界なのかを、明確に示された。主催者権限を介しているわけではないので確実とは言い難いが、それでも真実であると考えていいだろう。

『私から皆様へ行う説明は以上になります。それでは皆様、しばしのご観覧を』

告げられる開幕。しかし、だからと言って目の前で何かが変わるわけでもない。自分が知ってる風景の中で、自分の知っている乗り物が動き、自分の知らない端末を弄る人間がいる。自分のような規格外がいるわけでもなく、歴史に名を残すような事件が起こる気配もない。全体を俯瞰してみる自分の視点で何も見つからないのだから、本当に何もないのだろう。

《いや、そんなはずはない》

何もないはずがない。何せ今見せられている世界は『終末の未来』なのだ。発生する結果は終末に間違いない。ではその起点はどこだ。一体何が原因となってその事態にたどり着く。どれだけの時間コレを見せられるのかはわからないが、無意味なものを見せられている可能性はない。どこかで何かが始まっているはずだ。ひとかけら程度の情報すら見過ごすまいと目を凝らす。とたん、上空から俯瞰する形だった視界が地上へと近づき、最終的にはそこを歩く人間と同じ高さになった。
自分からはそこを歩く人間が認識できるが、相手からは一切認識されない。触れることすらなく、自分をすり抜ける形で歩き去っていく。そんな不気味極まる情景。しかし、そこに立ったことで違和感に気付くことが出来た。

『……何だ、これは』

逆廻十六夜は、そこに歩く人間の表情に気付いた。この上なく奇妙な表情。面倒なことがあるのか顔をしかめている少年も、何か嬉しいことがあったのか浮かれた様子のサラリーマンも、子供を連れて歩く父親も。特売でもあったのか両手にパンパンになった買い物袋を抱える主婦も、クレープ片手に談笑しながら歩く女子高生の集団も、立場があるのか顔を隠して歩く女性も。それぞれ全く異なる状況、待ったル異なる表情を指定ながら、しかし全員が同じ表情を下地に張り付けている。

それは形容するなら、何かに対する恐怖だ。何か自分を害しうる存在を知っていて、それが牙をむく可能性は低いと理解しながら、それでも拭いきることのできない恐怖。

だが、それは何だ。何がそんな感情を与えている。改めて周囲を見回し、それだけの要因を与えるものが無いことを再確認する。確かに、人一人を死に至らしめるだけの要因はそこら中にある。道を走る車は容易にそれを成すだろうし、ゴミを漁っている野良猫やリードを付けられ散歩中の飼い犬も、その気になれば人間を噛み殺せる。しかし、それは可能であるという事実があるだけで、恐怖するだけのものがそこにあることにはつながらない。日常の一風景でし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ