悲しいけど戦争なのよね士郎くん!
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い。分不相応の魔力を手にしただけで増長すれば命取りになる。
やがて、マスターとサーヴァント二騎は一つの砦を発見した。
火炎に炙られ、城壁は崩れ、城門は砕かれている。戦闘の気配はないが、破壊の痕跡はまだ新しい。
「……壊滅してまだ間がないのかもしれません」
「ええ。敵が残っているかもしれません。警戒していきましょう」
マシュとアルトリアの言葉に頷く。そして暫し沈思し、アルトリアにこの場で待機することを命じた。
「なにを? 戦力の分散は……」
「下策だ。だが、お前をここに残すことの意味、戦争の視点で見れば分かるだろう」
「……それは、確かに有効です。しかしあそこにはまだ無辜の民がいる可能性があります」
「いない」
マスターの断言に、アルトリアは眉根を寄せる。
「……根拠はなんです?」
「分かっていることを聞くな。敵の拠点を制圧、占拠することが目的なら、あそこまで徹底して砦を破壊することはない。俺達が敵とする連中は、相手がなんだろうと殲滅する手合いだろうさ。そして仮に生き残りがいたとしても意味がない。真の意味で人々を救おうとするのなら、この特異点を正しい歴史の流れに戻し、今ある悲劇をなかったことにするしかないだろう。違うか?」
「道理です。……今は大義を優先します。マスターの命に服しましょう」
「助かる。マシュは俺と来い。お前の守りが頼りだ」
「はいっ」
場違いなほど気合いの入った応答に、アルトリアと顔を見合わせる。張り詰めていた空気が少しだけ緩んだ、ような気がした。
少し苦笑し、アルトリアを残して砦を迂回。向こう側から突入する。
マシュに身辺の警戒を任せ、自身は遠くを警戒。砦の奥にまで行くと、そこには――
「――――」
竜を象る旗を持つ黒尽くめの女を発見。こちらを見て、にやりと嗤う。サーヴァント反応。敵、竜の魔女と断定。四騎はいると聞いていたが、五騎ここにいる。ということは、まだいるかもしれない。
黒衣の男と、仮面の女は吸血鬼か。死徒の気配に似ているが、こちらはそれとは異なり更に『深い』。
中性的な容貌の剣士が一騎。レイピア状の剣をすぐに解析。担い手の真名はシュヴァリエ・デオン。
それに、もう一人。十字架を象る杖を持った女。十字架からキリスト教関連の英霊と推定。女となれば、聖女の部類か。挙げられる候補は少ない。行動パターンを割り出せば真名を看破するのは容易だろう。
男の吸血鬼は杭のような槍を持っている。ヴラド三世の可能性が高い。女の吸血鬼は拷問用の鞭を持ち、蝋のような白い肌をしていた。――血の伯爵婦人だろうか。
敵戦力評価。ヴラド三世が最たる脅威である。最優先撃破対象に指定。この場で確実に撃破する。
黒い女が何かを言った。その口上を
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