暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
悲しいけど戦争なのよね士郎くん!
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練は積んでいるんだ。

 戦争の中で最も過酷なのは行軍である。であれば如何に戦闘技術が高かろうと、足腰が弱く足の遅い者達の軍は精強とは言えない。軍隊で延々と走らされるのは、体力作りのためでもあるが、何より長距離の移動を歩行で行なえる下地を作るためなのである。
 アルトリアが同意する。まさにその通りだと。足の遅い、長距離の移動がままならない軍など物の役にも立たない。いつの時代もそれは共通していた。

 進行方向に敵影。

 敵性飛翔体。竜種――あれは下級のワイバーンか。断じて十五世紀のフランスにいていいものではない。
 数は九体か。こちらには気づいていないが……。
 どうしますか、とアルトリアがマスターに訊ねる。汗一つ流していないマスターは、戦闘体勢を取る二人を制し待機を命じた。

 丁度良い機会だ。敵の脅威を図る。

 射籠手に包まれた左手に黒弓を。右手に最強の魔剣グラムと、選定の剣カリバーンの原典に当たる「原罪(メロダック)」を投影。
 エクスカリバーほどではないが、触れるモノを焼き払う光の渦を発生させることができる。消費した魔力はすぐにカルデアから充填されるのだ。魔術回路にかかる負荷は想定していたものより遥かに軽微。
 投影した宝剣を弓につがえ、ワイバーンの内の一体に投射。貫通。射線上のもう二体も易々と貫き、三体を葬った。ワイバーンがこちらに気づき向かってくる。

 構わず。

 今度は投影工程を一つ省き、魔力も絞った再現度七割の「原罪」を投影。無造作に投射。これも貫通。鱗も肉も骨もまるで紙のように貫いた。残り五体。
 更に投影工程を省略。再現度五割「原罪」投影。投射。貫通。残り四体。
 継続して工程を省略。もはや張りぼての粗悪品でしかない再現度三割の「原罪」を投影。投射する。ワイバーンを貫くも、貫通した「原罪」の威力が目に見えて低下していた。残り三体。
 算を乱し逃げ出したワイバーンに向けて、通常の剣弾を放つ。都合六発。一体に対して二射、心臓部と頭部への射撃で事足りた。

 弓を下ろし、マスターは適切な投影効率を割り出せたことを確信。ワイバーンに対しては宝具の投影の必要はない。

「……呆けている場合か? 行くぞ」

 感嘆したように目を瞠くサーヴァント達を促し、マスターらは一路駆けていく。
 マスターは思う。魔力の充実感が凄まじい。強化した脚力を維持することがまるで苦にならない。なるほど、マスターが昏睡している間、冬木での戦闘データから専用の概念礼装を発明したダ・ヴィンチは確かに天才だ。これほどの装備、望んで手に入る物ではない。

 だが、弁えるべし。所詮この身は贋作者。人の域を出ない定命の人間。
 相手がサーヴァントか、それと同位の存在が現れたなら、決して今のように上手くいくことはな
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