第一章「邪竜秒殺戦争オルレアン」
急げ士郎くん!
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ばならないと思う。
ロマニは息を整えて、なんとか言った。
「カルデアスは既に、第一特異点に座標を固定してある。レイシフトの準備も終わっていて、今更レイシフト先を変更することはできない。下手をすると第一特異点を見失いかねないからだ」
道理である。予定を土壇場で変更して、急遽別の任務を挟んでもいいことなど何もない。レイシフトを予定通りに行なうというロマニの判断は正しい。
だが、正しいからとそれで事態が丸く収まるわけではない。
「無茶を承知で頼む。士郎くん、これから赴く特異点の人理定礎を、早急に修復してくれ。一刻の猶予もないんだ、なるべく、なんて曖昧なことは言えない。比喩抜きで、一秒でも早く、戻ってきてくれ」
タイムリミットは。
聞くと、ロマニは固い唾を呑み込んだ。
自分がどれほどの無茶を言わんとしているのか、その重圧に喘ぐようにして囁いた。
「――次の特異点が、致命的に修復不可能なところにいくまでに要する時間は、おそらく十日だ」
管制室のカルデア職員達が、固唾を飲んでこちらを見る。
凄まじい重圧に、しかし負けず。跳ね返す鋼のような声で、カルデアのマスターは応答した。
「――了解。四日以内に戻る。それまでに次のレイシフトの準備をしておけ」
士郎くん、と呼ぶ声。
「病み上がりなのに、すまない。でも、それでも僕らは君に頼らないといけない。お願いだ、どうか無事に戻ってきてくれ……!」
ロマニ、と苦笑した声。
「俺を誰だと思っている。任せろ、必ず上手くいかせてみせるさ」
――アンサモンプログラム スタート
――霊子変換を開始 します
――レイシフトまで後 3、2、1……
――全工程 完了 ――グランドオーダー 実証を 開始 します
「さて……」
今度はコフィンを使用して、正規の手順でレイシフトしたためか、特に問題なく意識は覚醒した。
傍らを見ると、マシュとアルトリアがいる。召喚予定だったクー・フーリンは、召喚のための準備が間に合わなかった。
まあ、それはいい。瞬間的に気配を消し、姿を隠したアサシンも、こちらの声が届く所にいるだろう。
辺りを見渡すと、どうやらここは、どこかの森の中らしい。木々が生い茂り、のどかな空気を醸していた。
マシュが、緊張に強張った声で言う。
「……時代を特定しました。1431年です、先輩」
「中世か。しかもその時代となると、」
「百年戦争が事実上終結しジャンヌ・ダルクが火刑に処された年でもあります。……それよりもシロウ、気づきましたか」
アルトリアが補足するように言い、促してくる。俺はそれに頷いて、空を見上げた
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