やっぱりマシュマロなのか士郎くん!
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だが、士郎が頭を撫でるのは子供などの保護対象だけである。それはつまり――そういうことだった。
「……やめてください」
「!?」
ぽつりと呟くと、士郎は驚愕したように固まった。そして「マシュに反抗期が!? そんな、バカな、うちの子に限っては有り得ないと思ってたのに……!」なんて慄いている。
わたし、子供じゃないです……誰にも聞かせるつもりのない呟きが聞こえたのか、ぴたりと止まった士郎とアルトリア。俯いたマシュに、士郎はややあって優しく言った。
「……どうかしたのか?」
「……」
「……アルトリア、悪いが少し席を外してくれ。余り聞かれたいことでもなさそうだ」
「はい」
アルトリアは席を立ち、離れていく。そしてその姿と気配が食堂から無くなると、士郎はもう一度、噛んで含めるように語りかけてきた。
「なあマシュ。何か気になることでもあったのか?」
「……」
「俺は神様じゃない。言ってくれないと分からない。だから、思ったこと、感じたことをそのまま言ってほしい」
「……わたし、は……」
包み込むような包容力だった。そこには隠しようのない慈愛の色があって、マシュは溢れてくる気持ちを抑えることができなかった。
醜い気持ちを、溢してしまう。こんな汚い想いを知られてしまえば、きっと嫌われてしまう。怖いのに、止められなかった。
「……わたし、セイバーさんが嫌いです」
「……」
「今まで、先輩はわたしといてくれたのに……最近はずっと、セイバーさんとばかりいて……」
「……」
「……え、あ、違っ、そんな、わたしはそんな、嫌いなんて……」
「本当に?」
「あ、ぁ……」
「本当はアルトリアが気に入らないんじゃないのか」
「ぅ、……」
「……」
「……わたし、最低です……セイバーさんは、あんなにもいい人なのに……」
「……そうか。……よかった」
マシュにとって、この気持ちは感じたことのないもので。
醜いと、汚いと思ったから、知られたくなくて。
でも、聞かれてしまって。自分を抑えられなくて。
知られてしまった、士郎に嫌われてしまう。嫌だ、それだけは、嫌だ。そう思って、混乱しそうになっていると。――士郎は信じられないことに、安堵の息を吐いていた。
「……え?」
戸惑い、声を上げる。
「これは受け売りなんだが……」
そう前置きして、士郎は苦笑した。誰かを思い出すような目だった。
「少女は嫉妬を手に入れて、初めて女になるそうだ。……おめでとう、マシュ。お前は今、人として成長した。卑下することはない。ただ認めてこれからの糧とするといい。それが……大人の特権だ」
言って、マシュの頭を撫でようとし、手を止める。
困ったように笑みを浮かべながら、士郎
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