やっぱりマシュマロなのか士郎くん!
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がないのかと厳しめに言ってしまいたくなる。
しかし。アルトリアの余裕は崩れなかった。
「その通りです。ですので私も、最初の一度だけで自重しています。ここにいるのは、食事以外の楽しみがあるからです」
「食事以外に食堂ですることなんてないはずです」
「いいえ。……ここからはシロウの姿がよく見える。私にはそれだけでいい」
アルトリアは、日向のように温かい表情で、厨房でマシュと自身の分の料理をしている先輩――衛宮士郎の姿を眺めていた。
真剣に料理と向き合う佇まいには、ある種の風格がある。言葉一つ差し挟むことの出来ない領域にいる彼に、アルトリアはマシュの知らない心を向けていた。
思わず、言葉を失う。それは、なんて――
「……サー・アグラヴェインが何も言えない訳です」
ぽつりと溢れた呟きは、マシュの物ではなかった。霊基が仕方無いな、と言っているようで。なんだか、負けたくないなんて、何かの勝負しているわけでもないのに思ってしまった。
アグラヴェインは騎士王を見て何を思ったのか。複雑そうな、苦しげな、熱した鉄を飲み下すような苦渋の表情で、それでも騎士王を「我が王」と呼んだ。
ただその後に彼は士郎を何処かに呼び出して、何かを話していたようだった。その後の彼は、恐らく過去一度もないほどに酔い潰れていて、士郎は頬を赤く腫らしていた。
それからの彼は士郎をマスターとしっかり呼び、士郎はアグラヴェインを親しげにアッくんと呼び始めた。
アグラヴェインは嫌そうな顔を崩さなかったが、それでもどこか士郎のことを認めていた。
酔わないはずのサーヴァントが酔っていたのは、例によって例の如くダ・ヴィンチが絡んでいるのだろう。例え死んでいようと神様だって酔わせて見せるとは士郎の言である。何を目指しているのかは不明だが、なぜか今までで最も毅然としていたものだ。
「……」
むすっと黙り込んで、マシュも士郎の姿を負けじと見つめる。
なんとも言えない空気の中、士郎は調理を終え、夕食となるホタテのホイル焼きとさつま芋のレモン煮を二人分運んできた。ほくほくの白米もある。
「お待たせ。……アルトリアも飽きないな。見ていて何が楽しいんだか」
「何を楽しみにするかは私の勝手でしょう。それに」
言いながら、アルトリアはマシュに慈しむような目を向けた。
「待っている間、彼女と話しておくのも私にとっては楽しいものです。まるで年の離れた妹を見ているようで」
「ん? 仲良くやれてるのか。それは重畳」
「……」
「マシュ? どうかしたのか?」
むっつりとした表情でむくれているマシュを、士郎は気遣うように頭を撫でた。
……色々な時代の様々な特異点にレイシフトして、そこで多くの人々と触れ合う中で気づいたの
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