俺達の戦いはこれからだ!
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嬉しそうに俺を呼ぶ。なんだか夢見心地のようで、暫く呆としていたが、少しして意識が戻ったのだろう。
ハッとして目を一杯まで見開くと、驚き七割喜び三割といった表情で口を開く。
「ど、ど、」
「……ど?」
「ドクター! 先輩が目を覚ましました! ドークーター!!」
突然跳ね起き、ロマニを呼びながら病室から飛び出ていった。それを眺めながら、俺は苦笑する。
クールな外見に反して天然なところもある。それがマシュだった。時に独特な物言いもするし、変わったところも多々あるが、それでもいい娘なのに疑いの余地はない。
ところで、俺はどれぐらい寝ていたのだろう。
支給されたカルデア戦闘服を個人的に改造し、その上にいつぞや出会ったカレー好きの代行者から譲り受けた、赤い聖骸布を纏っていたのだが、今の俺は見ての通り病人服姿である。
剣にかける魔力消費量より二倍かかるが、投影できないこともない。しかし思い入れのある品なので、出来れば目の届くところに置いておきたいのだが……。対魔力の低い俺にとって、外界への守りである赤い聖骸布は命綱なのだ。手元にないと心もとなくなる気持ちも分かってほしい。
そんな益体もないことをつらつらと考えていると、妙に慌ただしい足音が聞こえてきた。
ばしゅ、と空気圧の抜ける音と共に扉がスライドする。飛び込むように入室してきたのは気の抜けた雰囲気のロマニである。
「士郎くん!」
ロマニは俺と目が合うと、大慌てで俺の体の調子を調べ始めた。
機械を使い、触診し、俺が健常な状態と知ると大きな声で俺に怒鳴った。
「ほんっ――とに、君はバカだなぁ!」
「……起き抜けに失礼な奴だな」
あんまりな物言いに、温厚な俺でもムッとする。
なにやら俺が、如何に酷い状態だったか言い聞かせてきたが、聞くだけ無駄なので聞き流す。こういう時の医者はやたらと話を大きくしたがるのが悪いところだと思った。解析の結果、俺はもういつでも動けると分かっているのに。
やがて怒鳴り疲れたのか、ロマニは肩で息をしつつ気を鎮めた。無理矢理落ち着けた語調で、ロマニは言う。
「……士郎くん。君は、自分がどれぐらい眠り続けたか分かってるのかい?」
「さあ。……三日?」
「一週間だ! 君が寝ている間に、次の特異点も発見してある!」
「……なるほど。じゃあすぐ行こう」
「バカ! このおバカ! 病み上がりに無理させられるわけあるか! 君はカルデア最後のマスターなんだぞ!?」
「だからこそだ」
荒ぶるロマニを受け流しつつ、俺はベッドから降り立った。思ったより両足はしっかりとしている。これなら激しく動いても問題あるまい。
「ちょ!? 安静にするんだ! 医療に携わる人間として見過ごせないぞ!」
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