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SAO−銀ノ月−
「わたしは、わたしです」
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どうしたいんだ」

 とはいえ、ショウキに出来るのはせいぜいここまでだ。沈黙するケンタウルスはせいぜい少しの間であり、その本体は相変わらずに無感情にショウキのことを見つめていた。一人の人間として見られたい感情の発露から始まったこの家出騒動で、何度目になるか分からないその問いに対して、本体のNPCではない彼女が答えを出さなくては、この戦いが終わることはない。

「わたしは皆さんとずっと一緒にいたいです……ですが、ですがわたしは、やはり『にんげん』ではありません……ショウキたちと! 一緒の存在になりたいんです!」

 本体の少女が、初めて声を荒げて叫ぶ。まるで殴りかかってくるかのような剣幕に連動するように、ケンタウルスを形作っていた鎖がまたもや動き出した。これ以上ボスが新たな形態ともなれば、もはやショウキになす術はなく、本体のNPCではなく彼女へとさらに語りかけていく。

「もうプレミアは、人間じゃないか」

「……え?」

「ただちょっと、住む世界が違うだけだ」

 食べ物が美味しいからと喜んで、人間ではないからと自分自身を怒って、その力を持ったせいでこの世界から拒絶されたと哀しんで。デリカシーのない根暗男や仲間たちといる日々のことを、これでもかと楽しんで。それのどこが人間ではないというのかと、ショウキはプレミアを初めとしてキズメルやカイサラ、ギルバートと出会って思う。

「それじゃショウキたちと一緒にはなれません……ショウキたちに恩返しも出来ません! わたし独りだけ、残されるくらいなら……」

「確かに今は出来ないかもしれない。でも幾らでも未来はある……まあ、俺が見つけ出すなんてことは、言えないけど」

 オーディナル・スケールで出会った、作り物のアイドルでありながら自意識を獲得したユナのように。オーグマーを利用して現実世界に現れたユイのように。今はまだ彼女たちに触ることは出来ないが、数年後がどうなっているかなど分かるわけもない。もちろんVRとAR分野のことなどショウキには門外漢だが、不幸なことにそれらの進化は目の当たりにしてきた。

「少なくとも、その殻に入ってたらその未来はない」

 ただしここでただのクエストボスとして始末されてしまえば、どうあってもその未来が訪れることはない。そうして話している頃には鎖は新たな形を成しており、かつての100層ボス《An incarnate of the Radius》を模した姿と化していた。あとは中心部に殻に入った本体を嵌め込むだけで動き出すようで、ショウキから守るように鎖が殻を包み込んだ。

「ショウキは、やっぱり『ずるい』です」

「ああ。人間はずるいから」

「……せっ!」

 ただし殻の内側からの攻撃には対抗できず。かつての《閃光》仕込みの細剣術に
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