「わたしは、わたしです」
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ら右足へと巻きつけていく。そうしてケンタウルスを中心にグルリと回り――なにせ四足だから安定感はピカ一だ――その身体の下に潜り込むと、取り出した短剣を膝の裏の間接に突き刺した。
「だからもう、優しい優しいショウキはあいにくやめてるんだよ! お前を助けるのは俺じゃない!」
ただし相手は生身のケンタウルスではなく、あくまで鎖で出来たアバターでしかない。膝裏に刺された短剣は対して意味はなく、ケンタウルスは身体の下に潜り込まれた状況を打開しようと、部屋を疾走してショウキを死角から追い出そうとする――したところで、ショウキは自身の全体重をかけて取り出した両手斧を支えた。
「らあああああああ!」
そうして疾走したケンタウルスは、身体の下に取り出されていた両手斧の刃が引っ掛かり、自らの疾走する力で両手斧を胴体に炸裂させた。もちろん両手斧も耐えられずに自壊したものの、代償にケンタウルスは身体の下半分が両断され、そのダメージにしばし膝をつく。
「自分も一人の人間だって言うなら、自分ぐらい自分で責任もって助けてみせろ!」
膝をついたケンタウルスの隙を逃すまいと、背後からショウキは疾走するが、新たに鎖で作られた尻尾がそれを阻む。まるで鞭のようにしなる尻尾を、作られた瞬間に長剣で斬り裂くと、ケンタウルスを踏みつけながらその手に持っていた巨大な片手剣を奪ってみせる。
「っく……」
「よいしょ! せーの!」
もちろんケンタウルスのサイズで片手剣だったボス用のものをショウキが扱えるわけもないが、まるでショウキがどのように動くかを読んでいたかのように、殺人独楽を排除したリズもまたしっかりと支えていた。二人ならば支えられるとばかりに、鎖による胴体の回復が済んだらしいケンタウルスが立ち上がった瞬間に、残った左手の盾をケンタウルスの片手剣でぶつけ合う。
「行ってきなさい!」
矛と盾、ケンタウルスの武器はそれぞれに打ち付けられて自壊していき、そのまま左腕を押し潰していく。そうしてショウキはリズに押された勢いのまま、盾が破壊されたことでケンタウルスに肉薄する。投げナイフが刺さったままになった、本体を守る殻が収納された胸部へと。
「――でやっ!」
そこで抜かれるのは、腰に帯びていた日本刀《銀ノ月》。カイサラから返却されていたその刀は、先のアバターのために作られた一点物であり、今のショウキのアバターでは十全に力を発揮することは出来ない。
……そう、十全に力を発揮できないが故に。
「……ショ、ウキ」
――日本刀《銀ノ月》による抜刀術は全てを斬り裂くことはなく。ケンタウルスと本体を守る殻、そして本体を守るためにか巻きついた鎖のみを斬り裂き、本体はまったくの無傷のまま残っていた。
「プレミアは、
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