「わたしは、わたしです」
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ンタウルス。鎧を全身に包んで四足をけたたましく鳴らし、両腕にはそれぞれ長剣と盾を持っており、古代の伝説にでも出てきそうな雰囲気を醸し出していた。さらに先程までの飛来する剣の代わりに、中空には二本の巨大な槍が浮かび、地上には独楽が回転していた。独楽と聞けばかわいいものだが、それが人間大で刃とともに回転している殺人独楽でなければの話だ。
「今!」
ただしその巨大な二槍は、竜のアギトを模した炎の奔流に巻き込まれて蒸発していく。さらに炎の竜は花火のように炸裂し、そのまま地上を回転する殺人独楽へも巻き込んでいく。リズの合図とともに放たれた、ガーネットがMPポーションを限界値まで飲みつつその全てを一発で使いきる炎魔法らしく、疲労感からかペタンと床に座り込んだ。
「ナイス、ガーネット! あとは任せときなさい!」
「ナイスタイミング、リズ」
とはいえ本体を守るケンタウルスは無傷、殺人独楽も全滅したわけではない。そもそもこの戦いの終結点すらはっきりせず、何が勝ちなのかもハッキリとしないままだ。
「ふふん、まあね。あとは代わってあげましょうか?」
「……冗談。これからだろ?」
ただその勝利条件がなんであれ。こうして彼女と軽口を叩きあいながら、背中を軽く叩いてもらえればショウキに負ける気など一片も起きることはない。
「なら行くわよ!」
接近していた殺人独楽を槍で貫きながら、ショウキは疾走してくるケンタウルスを迎え撃つ。リズは少し離れながら殺人独楽の相手を一人でする気のようで、安心してそちらは任せることとする。肝心のケンタウルスの胸には先程の投げナイフが刺さっており、本体とそれを守る殻がそこに収納されていることが示されていた。
「プレミア! 聞こえてるかどうかは知らないが!」
疾走とともに放たれた渾身の突きを、ショウキはあえて前に身を屈みながらステップで避けると、その遠心力を活かしつつ大剣を放つが、それはケンタウルスの左手の盾にたやすく防がれてしまう。そのままカウンターに打ち付けられるシールドバッシュを、大剣を盾に見立てることで衝撃を出来るだけ相殺し、追撃の片手剣を側面に長剣を押し当てることで軌道を逸らす。
「いつまで助け出されるのを待ってるつもりだ!?」
その攻防を交えながらも、殻は破ったのだから聞こえているだろうと、本体ではなく『プレミア』へと呼びかける。さらにリズから拡声魔法の支援を受け、攻防の衝撃音をものともせずに伝えることを可能としつつ。
「もう皆から過保護だ過保護だって弄られてな、プレミアも一人の人間なんだって家出したんだ」
そして不思議にもショウキを黙らせようとばかりに、ケンタウルスの攻撃は苛烈する。片手剣の横振りを小さく跳躍して避けながら、鞭を取り出しなが
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