約束された修羅場の士郎くん! 3
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アス》!
咄嗟に手を伸ばしマシュの盾に重ねるように薄紅の七枚盾を投影する。出力の弱まっていたマシュの盾ではもう防げないと確信したのだ。
全身から魔力を振り絞っての投影。七枚の花弁、その一枚一枚が古の城壁に匹敵するが、しかし。一瞬の拮抗の後にその全てを闇の津波に破壊され、マシュもまた弾かれるようにして吹き飛び気を失った。
「キャァスタァア!」
「任せぇろォ!」
力なく倒れ伏すマシュを気遣う余裕はない。鼻血を吹き、右肩から剣を突き出させながら吠えた。
応じるのは詠唱を完了させたケルト神話最強の大英雄。影の国の門番、女王スカサハに授けられた原初の十八ルーン、その全てを虚空に描き同時に起動した。真名を解放、渾身の言霊を込めて光の御子は唱える。
「大神刻印――!! 善を気取り悪を語るもの、二元の彼岸問わずに焼き尽くされなァ……ッ!」
光が奔る。大気が燃える。音が砕け世界が染まる。
ランクにしてA、対城宝具に位置する魔力爆撃。光の御子のルーン使いとしての奥義は黒い騎士王の対魔力を貫通した。
総身を灼かれ、莫大な熱量に包まれ騎士王の姿が消えていく。
その様を見ながら、しかし俺は無意識の内に唱えていた。
「投影、開始」
腹から、背から剣が突き出る。血反吐を溢しながら、死力を尽くした。
手には息をするような自然さで、黄金の宝剣が握られていた。それは、俺があの日、彼女のために投影した彼女の剣。選定の、剣。
息も吐けぬまま、黒弓につがえる。そして、何も見えない光の中へ、狙いも定めずに撃ち放った。
――まるで、導かれるような一射であった。
全身に闇の魔力をまとい、全力で耐えきった黒い騎士王は、満身創痍の瀕死の姿で大神刻印の只中から飛び出し脱出する。上位の英霊ですら燃え尽きるような光を、その対魔力と回復力、溢れんばかりの魔力放出によって耐え、辛うじて死を免れたのだ。
その胸の中心に、勝利すべき黄金の剣が突き立つ。
「……信じていた。お前なら、きっと、こちらの予想を上回る、って……」
こほ、と俺とセイバーは血を吐く。
セイバーは、力なく微笑んだ。
「――シロウ。本当に、強くなりましたね」
「ああ……まったく。負けず嫌いも大概にしろよ……」
「まだ終わりではないのです。聖杯探索は、これからが始まりなのですから」
「……そうか、まだ、終わりじゃないのか」
思い出したように笑い、俺はセイバーが投げて寄越した水晶体を受け取った。
「……これは?」
「見た目では分からないでしょうが、聖杯です。それは、私に勝った貴方のものだ。どう
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