約束された修羅場の士郎くん! 3
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なのに何故だろうか。全く以て、負ける気がしなかった。
マシュを前衛に押し出し、キャスターをその背面に配置して詠唱させる。自身はひたすらにセイバーへ矢を射掛けるのみ。それだけだ。大火力の攻撃は、キャスターに任せた。
対魔力を突破できるのか。そう訊ねると、自信ありげに任せろと言われた。ならば信じるのみ。大言壮語で終わらない、英雄の言葉を信じずしてなんとする。
マシュの動きも鋭さを増していく一方。身に宿した英霊の戦闘技術の継承がもうすぐ完了するのだろう。生き生きとし始めたのが傍目にもはっきりとわかる。
射撃に徹する傍らで、時折り鋭く警告を発する。セイバーの動きの癖、思考パターンを洞察し、彼女の狙いがマシュからキャスターに、キャスターからマシュに移り変わるタイミングを何度も指摘した。
セイバーの剣は基本に忠実な王道のもの。奇を衒うよりもその剛剣にこそ注意せねばならない。随所で、要所で、強力な剣弾を射出してセイバーの意識をこちらに向けさせて、キャスターやマシュの援護を完璧に果たす。
セイバーは俺の矢を無視できない。一度は俺の矢であわやというところまで行ったのだ。投影した剣弾は爆発させれば充分な攻撃力を発揮する。俺から目を逸らそうものなら、なけなしの魔力を振り絞って宝具を投影し、決定打を放つ腹積もりでいた。
それが分かっているからか、壁役のマシュの守りを叩きながら、キャスターに化け物じみた魔力を乗せた卑王鉄槌を撃ち詠唱を妨害しつつ、徐々に聖剣に魔力を込めていっている。
起死回生、聖剣の一撃に賭けるつもりなのか。臨界にまで達した聖剣が黒い極光の柱となって膨張している。鉄壁の防御を固めたマシュをいなしつつ、遂に左腕を癒しきった騎士王が逆襲に走った。
――約束された勝利の剣ッ……!
解き放たれる闇の剣。究極斬撃。キャスターを狙った人類最強の聖剣は、しかし展開された燐光の盾に防がれる。苦し紛れの聖剣は、この盾にだけは通じないと分かっているはずなのに……いや、これは!?
俺は目を剥いた。聖剣の振り終わり、切って返す振り上げの一撃は、まだ瀑布のような魔力をまとっている!
――何回耐えられる、盾の娘! 行くぞ、約束された勝利の剣!!
連発! 聖杯からの魔力供給は凄まじく、セイバーは聖剣の連射によって盾の守りを突破しようというのだ。なんたる力業、暴竜が如き息吹。
アァァァ――ッ! マシュが悲鳴に近い声で吠えた。度重なる疑似宝具展開に限界を迎えたのだろう。だが、猛攻は終わらない。
――まだまだ行くぞ、約束された勝利の剣!!
「体は剣で出来ている――」
|熾天覆う七つの円環《ロー・アイ
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