約束された修羅場の士郎くん!
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、ぎりりり……! 黒弓の弦に掛けられた指が。つがえられた魔剣が。俺の中にある雑念を吸い上げ、燃料として燃えている錯覚がした。
そうだ、全てを吸え、呪いの魔剣。心の中で呟く。そして行け、忌まわしき記憶と共に。
マシュが、俺の指示を守り、防御を固めた体勢のまま騎士王に挑みかかる。視線をこちらに向けたまま、凄まじい魔力放出と共にセイバーはマシュを吹き飛ばした。
一度、二度、三度。幾度も同じことを繰り返し、何を苛立ったのかセイバーはマシュに向けて渾身の剣撃を叩き込んだ。成す術なく薙ぎ払われ地面に叩き伏せられるも、受け身をとってすぐさま跳ね起きたマシュだったが――眼前にまで迫っていたセイバーの姿に、ハッと身を強ばらせてしまった。
ちょうど、四十秒。あわや、というところを狙い、遂に赤原猟犬を解き放つ。解放の雄叫びをあげるように、魔剣は獲物目掛けて飛翔した。音速の六倍の早さで飛来した魔剣、されど一瞬たりともこちらへの警戒を怠っていなかった騎士王は両手で聖剣を振りきって俺の魔弾を弾き返した。
だが、一度凌がれた程度で獲物を諦める猟犬ではない。
射手が狙い続ける限り、何度でも食らいつき続ける魔剣の脅威は並みではない。弾き返された魔弾はその切っ先を再度騎士王に向けて、執念深く襲いかかっていった。
それを目にしながらも手を止めない。新たに偽・螺旋剣を投影する。
壁役のマシュが足止めし、俺が狙撃する。セイバーの癖は知り抜いていた。必勝の機を作り出すのは不可能ではない。このままフルンディングで食い止め、カラドボルグを射掛ける。そして二つの投影宝具をセイバーの至近距離で爆発させれば仕留められる。そこまで上手くいかずとも確実なダメージを狙えた。
だが、それを見て俺はぼやいた。
「やはり既知だったか……」
アーチャーと交戦した経験でもあるのだろう。セイバーは猟犬が再び噛みついてくることを知っていた。素早く身を翻して回避し、マシュと魔剣が一直線上に結ばれる位置になった瞬間、黒い聖剣の真名を解放した。
――卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め、約束された勝利の剣!
果たして解放された聖剣の極光は魔剣を呑み込み、マシュをもその闇で粉砕せんと迫った。
それを、マシュは宝具を疑似展開し、なんとか防ぎきる。カラドボルグほど苦しくはなかっただろう。あの盾は、円卓ゆかりの宝具に対してすこぶる相性がいい。例え騎士王の聖剣でも、否、聖剣だからこそ破るのは困難だろう。
盾を解析し聖剣を知っていたからこそ、それを見越してマシュに前衛を頼んだのだ。そうでなければ、マシュ一人に前衛を任せられはしない。
「……偽・螺旋剣」
無造作にエクスカリバーの撃ち終わりの隙を突き、冷徹に投影
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