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干支の巫女
制御困難の火竜編
002話 ファーストコンタクト
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姿があったのだ。
ズンッという腕を地面に下ろす音が、その重量感が虚構ではなく本物のものだと認識させてくれる。
そしてそんなドラゴンと目が合ってしまった私。
あ、もしかして詰んだ…?

「い…いやぁーーーーー!!」

私はもう脇目も振らずにその場から走り出してしまっていた。
なに!? なんでドラゴンとかいるの!?
ここは日本じゃないの? いや、そもそも日本じゃなくってもどこにもあんな生物はいないって!
走る。ひたすら走る。
必死に走りながらも頭の冷静な部分ではある事を考えている。
もしかして、ここって日本じゃなくって異世界…?と。
でもそんな事が…アニメでもよくある異世界物が出回っている昨今の世の中で、これはもしかして盛大なドッキリなのではないかと。
誰かがどこかでこんな私の事を監視していて悪趣味に笑みを浮かべているのではないかと。
でも、そんな利益なんてない事を、こんな一般人の高校生でしかない私に仕掛けて喜ぶ人がいるであろうか?
鈴架やお母さんがこんなことを誰かに提案するなんて以ての外だし。
もう…なんていうか、

「一体どういうことなのー!?」

この不条理を嘆く以外に私には出来ることがなかった。
しばらくして背後から音がしてこない事を感じた私は、一回走る足を止めて何度か息継ぎをして走り続けた代償で消耗した体力を回復させることに専念しつつも、あのドラゴンが追ってこない事を確認できた。

「はぁはぁ…よかった。追ってきていない…」

安心したのかその場でへたり込む。
するとよほど緊張していたのかポタリ、ポタリと涙が溢れ出してきてしまう。

「あはは…もう本当に最悪な一日…」

学校帰りに変な怪異に襲われたと思えば、気づいたらどこか知らない異世界(?)にいて、スマホは圏外で一切使えず、挙句の果てにはドラゴンと遭遇して惨めに逃げ出してしまうという…。
こんな事は普通の現代なら到底体験できないであろう。
もし無事に家に帰ることができたならお母さんや鈴架に夜通し話してあげたい。…きっと信じてもらえないだろうけど。
さらにはお腹が空いたのか「くぅ」という音が鳴る。
ただでさえ疲れているのに体は正直で参ってしまう。
とにかく、今は食糧確保に動いた方がいいのかな…?
でも、どことも知れないキノコとかを食べるのは遠慮したいし、下手したら先ほどのドラゴンにまた遭遇して今度こそ食べられてしまうかもしれない。
そもそもサバイバル技術なんて持ち合わせていないのにどうしろと…?
さっきも思ったことだけど、色々と詰んでいる現状に諦めの色が濃厚で、気づけば空も暗くなり始めてきた。
季節があるのかは分からないけど森の中で一夜を過ごすのはとても危ない。
肌の感覚ではそんなに寒くはないけど、それとは別にして夜の獣
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