序章
001話 始まり
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……ま、愚痴を言ったって今更現実が覆るとも限らない。人間諦めが肝心なんだよ。
そんな事よりもうお母さんが料理を作ってくれている頃だろうから早く鈴架を起こして学園に行く支度をしないとね。
手早く洗面所で顔を洗い髪を梳かす。
その後に制服に着替えて台所に顔を出して、
「お母さん、おはよう!」
「あら、ルカ。おはよう。部活の朝練?」
「うん、そう。それじゃ鈴架を起こしてくるね」
「ええ、お願いね」
そしてまた私は二階に上がっていっていまだに寝ているだろうねぼすけさんを起こすいつもの朝を過ごすのだ。
ただ、今日は鈴架の寝起きが悪かったためにその頭にたんこぶを作る羽目になったのはご愛敬。
その後にお母さんにお弁当を受け取って家を出たんだけど、
「ううー……お姉ちゃん、ひどいよぉ……」
「すぐに起きない鈴架が悪いのよ?」
我が妹はたんこぶが出来ている頭を手でさすりながらも私にジト目を向けてきている。
鈴架も普通にしていれば可愛いのにね。や、私の大事な義妹だから全部可愛いんだけどね。
黒髪の私とは違って少し白みがかった黄色い髪の色をしていてチャームポイントのツインテールにしている。
「あー……お姉ちゃんに誘われてバレー部なんて入るんじゃなかったよー。もう少し寝ていたいのが本音だし……」
「そう言わないの。そういう鈴架だって一年でもう頭角を現してきているのか先輩からは目をかけられているじゃない?」
「そうなんだけどー……基本あたしはものぐさだから」
「ふふ。諦めなさい」
「はぁい……」
そんな感じで私達は学園へと足を運んでいく。
校門が見えてくるといつものように生徒会長様が出迎えてくれる。
「……おや。辰宮君達か。部活かね? 朝から精が出るな」
「お、おはようございます……奈義会長」
「おはよーございまーす……」
「うむ。おはよう」
そう言いながらも眼鏡をクイッと直す仕草が様になっているこの人は奈義久刻(なぎ ひさとき)。
この学園の三年生で生徒会長であり、私が少し苦手とする人物である。
なんでかって、毎回私を生徒会に勧誘してくるからである。
私の友達がそこに在籍していて私も目を掛けられているんだけど、どうにも細々とした事は苦手な私からしたらあんまりやりたくない役目なんだよね。
足を止められると厄介なので早々においとましよう。
「で、では失礼しますね」
「うむ。頑張りたまえ…………――――これからいろいろと大変そうな事だしな」
「えっ? なんのことですか……?」
私はついその言葉が気になったので足を止めて振り返る。
しかしもう奈義会長はこれ以上は無粋とばかりに大きい背中を私たちに向けており、私達の後にやってきていた生徒の子に挨拶をしていた。
いろいろと大変そうな
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