卑の意志なのか士郎くん!
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「答えろアーチャー。お前は正義の味方になれたのかと聞いている」
「……戯れ言を。正義の味方だと? そんなものは幻想の中にしか存在しない偽りの称号だ。存在しないものになど成れるものか」
「……なんだ、成れてないのか」
失望したように。
笑いを、こぼす。
エミヤの顔色が変わった。俺にとっての、正義の味方の表情が苛立ちに染まる。
「何が言いたい」
「お前は俺のことを弱者と言ったな? その通り、俺は弱い。お前よりもずっと。なら強者であるお前は? アーチャーは成れたのか。正義の味方に。それが気になってな。その如何を是非とも聞きたかった訳だが……そうか成れなかったのか。正義の味方に」
「……言いたいことはそれだけか」
「いいや今のは聞きたかったことだ。言いたかったのは、こうだ。――正義の味方に、俺は成れたみたいだぞ」
「――――」
エミヤに、空白が打ち込まれる。俺の告白は、奴にとってあまりにも重く、無視しがたく、流せない言葉だったのだ。
俺は、更に一言、告げた。
「今、人理は崩壊の危機にある。これを修復することは人類を救うことと同義。――これが正義でなくてなんだ。人理のために戦う俺が正義の味方でなくてなんだ。――正義の味方に敵対する、お前はなんだ?」
「……黙れ」
「わかった、黙ろう。だがその前に謝罪するよアーチャー。すまなかった。そしてありがとう。悪として立ちふさがるお前を、正義の味方として倒す。分かりやすい構図だ。善悪二元論……喜べ。お前は悪として、俺の正義を証明できる」
「 」
エミヤの目から、色が消えた。
その鷹の目が、俺だけを見る。俺だけを捉える。
マシュが、固い顔をしていた。俺のやり方が読めたのだろう。聡明な娘だ。
やれるのか、マシュは。一瞥すると少女は頷いた。揺らがない、少女は決してブレない。戦うのは、自分のためでなく。ひとえに己のマスターのためだから。
――これで、アーチャーには俺しか見えない。
呼気を見計らう。緊迫感が高まっていく。息が苦しい、殺気が痛い。アーチャーの全身が、脱力した。その意味を俺は知っている。攻撃に移る前兆。
俺は弾けるように指示を飛ばしていた。
「マシュ! 突撃!」
「了解! マシュ・キリエライト、突貫します!」
大盾を構え、突撃するマシュ。それをアーチャーは無表情に迎え撃った。
大盾を前面に押し出し、質量で攻めるマシュ。干将と莫耶を十字に構え、ぐぐぐ、と弓の弦につがえられた矢のように力を溜めるや、干将の切っ先に力点を移しながら強烈な刺突を放つ。
っぅ……! 苦悶するマシュが盾ごと跳ね返されて後退する。同時に踏み込み、アーチャーはマシュを押し退けるように莫耶で薙ぎ払い、マシ
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