突撃、隣の士郎くん!
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れ、マシュは衝撃に耐えられずに倒れそうになり――その背中を、無骨な手がそっと支えた。
「――」
踏み留まる。なけなしの力を振り絞り、マシュは声もなく吠えた。
爆発が途切れる。螺旋剣の残骸が地に落ちる。
マシュは、耐えきった。肩を叩いて労い、その場にマシュがへたり込むのを尻目に、俺は投影して魔力の充填を終えていた螺旋剣を黒弓につがえる。
それはアイツのものを視認したのと同時に固有結界へ貯蔵された剣。莫大な魔力消費に全身が、魔術回路が悲鳴をあげていた。
だが、無視する。俺は今、マシュが成し遂げた小さな偉業に感動していた。マシュが獲得したこの隙を、無駄にするわけにはいかない。
「体は剣で出来ている」
そう。この魂は剣ではない。だが体は、間違いなく剣なのだから。
「我が骨子は捩れ狂う――偽・螺旋剣!!」
放たれたのは、鏡合わせのような螺旋の虹。自身の全力が防がれた驚愕に固まっていた弓兵は、しかしすぐさま最適の手段をとる。
虹を遮るのは薄紅の七枚盾。ロー・アイアス。投擲物に無敵の力を発揮する、盾の宝具。
こちらは、完璧に螺旋剣を防ぎきっている。俺の投影に不備はない、単純な相性の差だった。マシュの盾は仮のもの、円卓ゆかりの者の宝具なら相性がよく防げたかも知れなかったが、カラドボルグを防ぐには全霊を振り絞らねばならなかっただろう。
「単独で射撃と防御、どちらも俺達を上回るか……」
流石、と言えば自画自賛になるだろうか。マシュの腕をとり、立たせてやって、アイアスと鬩ぎ合っていた投影宝具の魔力を暴発・爆発させる。
閃光に包まれた敵影。その瞬間、俺は走り出していた。
「先輩……今、宝具を投影してませんでしたか……!?」
「その話は後でする。今は走れ! 距離を詰める、遠距離だと分が悪い!」
マシュが我が目を疑うように目を丸くして、驚いていたが、相手にしない。する暇がない。
爆発が収まり、光が消えると、弓兵は獲物の思惑を悟って舌打ちする。獲物が二人、円蔵山に入っていこうとしていたのだ。
今から矢を射っても牽制にしかならない。足は止まらないだろう。かといって宝具を投影しても、射撃体勢に入る頃には洞窟の中に侵入されてしまう。
是非もなし。弓兵は舌打ち一つ残して、先回りするために高台を下っていった。
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