突撃、隣の士郎くん!
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重苦しい沈黙。呪いの火に焼かれる街並みに、かつての名残は微塵もない。
悉くが燃え散り、砕け散った残骸都市。吸血鬼により死に絶えた、末期の死都よりもなお毒々しかった。
幸いなのは、既に住民が全滅していること。
そう、全滅だ。比喩でなく、文字通りの意味で人間は死滅している。
それを幸いだと思ったのは、一々救助する手間が省けたこと。そして、『見捨てる』という当然の決断をしなくて済んだこと。これに尽きた。
さすがに、アサシンは見捨てる判断に否を唱えないだろう。むしろどんな犠牲を払ってでも特異点の修復を優先すべきだと言うに違いない。俺もそれに全面的に同意したいところだが、生憎とここにはマシュがいる。そんな重い判断に従わせたくなかった。
無駄な感傷だとアサシンは断じるだろう。くだらない私情は捨てろと言うだろう。だが俺は、マシュには俺の影響を受けて、誰かを見捨てるという判断が出来る人間になってほしくなかった。くだらない私情と言われればその通りだが、マシュの前でだけは時に合理的に判断出来ない時がある。
――にしても、静かすぎるな。
俺は辺りを見渡し、胸中にて独語する。視線を1時の方角、ちょうど俺にだけ姿を認められる周囲の死角に実体化したアサシンが、ハンドサインで敵影なし、と報告してきた。
妙だな、と思う。この円蔵山付近に来るまでに、何度か雑魚と交戦することがあったが、大聖杯に着実に近づいているにも関わらず、敵がいなくなるようなことがあるだろうか。
ハンドサインで隠密と遊撃、および斥候を継続するように指示する。アサシンは短く了解の意思を示し、実体化を解いて周囲の環境に融かし込むように気配を遮断した。
「マシュ、何かおかしい。ここからは――」
慎重に行こう、と言いかけた瞬間。俺は、反射的に干将・莫耶を投影し、こちらを貫かんと飛来してきた矢玉を叩き落としていた。
「……!」
「先輩!」
同時にマシュにも襲いかかっていた矢を、マシュは自身で処理し防いでいた。
すぐさま俺の前にマシュが出る。眼球に強化を施して、矢の飛んできた方角を睨む。すると、遠くに黒く染まった人影があるのを発見した。
遠目にしただけではっきりとわかる高密度の魔力、間違いない、あれは、
「サーヴァント……! マシュ、向かって11時、距離1200! 視認しろ!」
「……見えました、恐らくアーチャーのサーヴァントです! 次弾装填しこちらを狙っています! あれは剣……剣を矢に見立てて……!?」
ちぃ、と俺は露骨に舌打ちした。
冬木の聖杯の泥に汚染されているのだろう、黒く染まっているためか輪郭がはっきりとしないが、剣を矢にするサーヴァントなんぞ俺には覚えが一人しかいない。思わず吐き捨てた
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