気まずそうです士郎くん
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すぐ排除する。――ここまでで質問は?」
「ありません。強いて言えば、もし仮に戦闘を強いられるような状況になった場合、わたしはどう動くべきでしょうか」
「基本的には俺の盾だ。俺の傍を離れず、徹底して防御を固めるだけでいい。攻撃は全て俺が担当する」
「アサシンさんはどうするんですか?」
言いながら、マシュが視線を向けると、そこにアサシンはいなかった。
微塵も気配を感じなかった。そのことに驚くマシュに、士郎は不敵に笑いながら言った。
「アサシンの気配遮断のランクはA+だ。敏捷のステータスも同様で、単独行動スキルもAランクで保有してある。つまりアサシンは遊撃が最適のポジションということだ。隠密に徹したアサシンを発見するのは、同じサーヴァントでも不可能だろう」
マシュは悟った。この二人は、かなりえげつない戦術を執る気なのだ、と。
微妙そうな顔になるマシュだったが、気にしないことにした。そういう狡さこそが、えてして勝因になるのだと聡い故に理解できていたのだ。
「……カルデアとの連絡はどうしましょう」
「必要ない。今のカルデアの状況から察するに、出来る支援は地形を調べたりすることぐらいだろう。だがそれは、俺がここにいるからには必要ない。それ以外に支援できないだろうから、カルデアからの支援はこの特異点では無用だ。俺とマシュの意味消失を避けるために、観測自体は常にされているだろうから、聖杯を回収する頃には向こうから連絡できるだろう。重要な施設は無傷だとロマニは言っていただろう? 心配することはない」
「了解しました。マシュ・キリエライト、円蔵山まで急行します」
方針を理解し、マシュは力強く声を張った。士郎は頷きを返し、両足を強化して疾走をはじめる。
目的地まで一直線に駆けていく。マシュは士郎の健脚に驚く。サーヴァントの最大速度には当然及ばないまでも、生身の人間としては破格の足の速さだったのだ。恐らく自動車並みの足である。
でも、やっぱり。
走りながら弓を射ち、時々アサシンが強力な敵性個体を発見するなりバック・スタブを叩き込んで仕留めているのを見ると、なんとも言えない気分になった。
雑魚は士郎が片付け、強力な個体は士郎が気を引きつつ背後からアサシンが仕留める。それだけで、無人の野を行くが如しだ。なんというか、士郎とアサシンの息が合いすぎてて、嫉妬してしまいそうになる。
「……もし無事に帰れたら、わたし先輩と訓練しないと。このままじゃ、ダメです」
ぽつりと呟いたマシュは、自分が守られる立場に立っているのを強烈に自覚し、強くなることに意欲を抱きつつあった。
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