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英雄伝説〜灰の軌跡〜 閃V篇
第78話
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に…………バリアハートを含めた旧エレボニア領ではそのような話は聞きませんのに…………」
アンゼリカの説明を聞いたリィンは複雑そうな表情をし、セレーネは悲しそうな表情を浮かべた。
「…………そうか。旧共和国領には旧エレボニア領のように、元祖国の代表的な存在が両帝国に従う、もしくはヴァイスハイト陛下のようなVIPクラスの人物と縁戚関係を結んでいないからですね?」

「あ…………」

「ええ、そうよ。旧エレボニア領の内メンフィルは君も知っての通りアルフィン皇女殿下が、クロスベルはカイエン公爵家のユーディット皇妃陛下がそれぞれ両帝国の英雄や皇帝に嫁いだ影響で、それぞれの国に統合された事への反発も大した事がないそうなのよ。だけど、エレボニアと違って貴族や皇族が存在しない旧共和国は代表格クラスの人物はロックスミス大統領だったけど、そのロックスミス大統領は2年前の連合軍が首都に侵攻した時に責任を取って自害したからね…………」

「一応大統領には娘が二人いるとの事だけど、二人とも既に政治とは縁遠い職業に就いている上アルフィン皇女殿下達と違って旧共和国人達にとってはそんなに有名な存在じゃないから、例え二人がアルフィン皇女殿下やユーディット皇妃陛下のようにメンフィル・クロスベルのVIPクラスと結婚したとしても、効果はあまり見込まれていないのさ。まあ、それもあって両帝国はロックスミス大統領の家族の事はそれ程重要視していないみたいなんだ。―――むしろ彼女達がロックスミス大統領の仇を取るためという名目でテロリスト達に拉致されてテロリスト達にとっての”旗印”にされないように、両帝国は彼女達に警護をつけているくらいさ。」
リィンの推測にセレーネが呆けている中サラとアンゼリカはそれぞれリィンの推測に頷いて説明を続けた。
「そうだったのですか…………あら?でも、どうしてアンゼリカさんは旧共和国の事情についてそこまで詳しいのですか?」

「フフ、実は私の泰斗流の師匠が旧共和国の情報機関に所属していた人物で、今はクロスベル帝国の情報機関の人物として働いているのさ。」

「え………?旧共和国の情報機関に所属していた人物で、”泰斗流”、ですか?確かわたくし達がクロスベルで知り合った方にもそのような方がいらっしゃるのですが…………」

「まさかアンゼリカさんの”師匠”はキリカ・ロウランさんですか?」
自分の質問に答えたアンゼリカの答えを聞いて心当たりがあるセレーネは目を丸くし、リィンは僅かに驚きの表情を浮かべてアンゼリカに訊ねた。


「ふふっ、その通り。師匠からは君達のクロスベルでの活躍も聞いたよ。何でも”西ゼムリア通商会議”では、特務支援課と共にオルキスタワーの襲撃に失敗して撤退しようとした帝国解放戦線を処刑しようとした”赤い星座”を制圧した
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