序「特異点F」
成し遂げたぜ士郎くん!
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覚しそうにもなった。
だが、結果として俺は間桐兄妹と仲良くなり、桜と親密になり、慎二と決裂し、誰にも見抜かれることなく正義の味方に憧れる少年を投影できた。
そして、運命の夜。
俺は赤い弓兵と、青い槍兵の戦いを目撃し、心臓を破壊され、遠坂に助けられ、帰り道でイリヤスフィールと出会い、槍兵の襲撃を受けて土蔵に逃げ込み、そこで騎士王を召喚した。
そこからは、怒濤のように時が流れた。
俺はかねてより考えていた通りに、セイバー・ルート (と便宜上呼称する)に沿った。
遠坂ルートと桜ルートは俺的にリスキーに過ぎる。アーチャーと一騎討ちなんてしたくないし、英雄王を倒すなんて無理だし、桜を助けるためにバーサーカーとかセイバーを倒すのはもっと無理。その前にアーチャーの腕を移植しても、中身が俺だと適合するかわかったもんじゃない。
――確実に適合する――
最も難易度が低いのが、セイバーのルートだったと思う。
無論、だからといって簡単に済むはずがなく、綱渡りの連続どころじゃなかったが、それでも俺は完璧にやり遂げることが出来た。その過程でセイバーと懇ろな関係になるという役得もあったが、まあ多少はそういうご褒美があっても許されるはずだ。
そうして、紆余曲折を経て、俺は原作通りにことを終えることが出来た。
最終決戦を終え、セイバーが消えた瞬間。
俺は、絶頂した。
ぶっちゃけ射精した。
十年単位の一大事業を成し遂げ、俺は途方もない達成感と多幸感に包まれ脱力してしまったものである。
それから俺は、衛宮士郎を演じるのをすっぱりとやめた。
俺はやり遂げたのだ。全ての地雷を回避して、地雷になりそうなのを桜以外撤去完了し、もう俺が俺を偽る必要性は消えたのである。
と言っても長年のツケが回ってきたためか、無意識の内に衛宮士郎の如くに振る舞ってしまったこともあるが、それでも俺にはそれを演じている自覚がないために重荷に思うこともなく。俺は何事もなく高校を卒業し、半ば飛び出るようにして冬木から旅立った。
――そうしなければならない気がした――
そして、まあ、なんというか、正義の味方を志していたわけではないが、気がつくと俺は海外を回り、慈善事業に手を出して、飢餓に苦しむ人々のために可能な限り援助の手を差し出し続けていた。
学校に通うこともできない貧しい子供たちのために、俺が教えられる範囲で勉強を教えてあげて。建物を建てる方法を学んでそれを教えてあげたり、まあ、思い付く限りに力を尽くしていた。
楽しかった、というわけではないが。まあ、遣り甲斐はあった。正直なんでこんなことをしているか分からなかったが、別にお天道様に顔向けできないことをしているわけでもなく、俺
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