第六十三話 再起
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メンバーは私、レックス、タバサ、フローラさんだ。
元々フローラさんは本来は関係なかったのだが、「ブルジオさんとは多少とはいえ面識がありますし、私がお話をした方がきっとスムーズに行きますわ」という事でわざわざ一緒に付いてきてくれて本当に感謝しかない。ちなみにデボラの方はあんまりブルジオさんのことを知らない上に行きたがらなかったのでここにはいない。
「着きましたわ」
フローラさんが足を止めた、その先にはブルジオさんの屋敷があった。
「ここに、お父さんがいるんだよね!」
「お父さん……、私が治してあげます」
レックスは父親にもうすぐ会える事への歓喜を、タバサは父を一刻も早く石化から解放しようという意思をそれぞれの顔に浮かべる。
「……もう8年か」
8年。長かった。無力感に苛まれながらもそこから抜け出し、自分の力で抗い続けると決意して血の滲むような努力を重ねてきた。
そしてついに呪縛からアベルを解放する事が出来る。
今この瞬間が自分が望んでいたことになりつつある事に嬉しさや喜びは感じなかった。アベルがいなかった期間が長過ぎて彼が戻ってくるという現実味が未だに沸いていない。寧ろどこか奇妙にすら感じた。
門を潜ると、目の前に現れたのは荒れ果てた中庭だった。花壇には何も植えられておらず、土も乾ききってしまっている。雑草だってあちこち伸び放題で、噴水の水も枯れてしまってる。
「まぁ……、ブルジオさんに何があったのでしょうか」
そう言ってフローラさんは駆け出して屋敷のドアをノックした。
「……どなたですか」
しばらく経って低い嗄れた声が聞こえてきた。
「お久しぶりです、私です。ルドマンの娘のフローラです」
ドアが少し開き、中からブルジオさんが顔を見せる。非常に生気に乏しい顔をしていた。この顔を私は知っている。この顔はとても深い絶望と悲しみによって作られた顔だ。かつての私自身がこの顔を浮かべていた。
「これはこれは。お久しぶりですなフローラさん。本日はどのようなご用件で?」
そしてそこから出される声も何の感情も込められてはいない平坦な声だった。
「少しお話ししたい事がございましたので、ここまで来ました。よろしければ中でお話しさせてもらってもよろしいでしょうか?」
「…………よろしいでしょう。どうぞ中にお入り下さい。お連れの方々も是非」
屋敷の中は光が差し込んでいるのに陰鬱な気配がした。私達は全員紅茶を振舞われ、もてなされた。紅茶を淹れてくれた召使いのクラウドさんもブルジオさんほどではないが彼もまた深い憂いを帯びた表情をしていた。
「さて、改めてお聞きしますが本日はどのようなご用件で?」
「実はお願いしたいことがございまして」
「それは何ですか?」
「以前ブルジオさんがご購入されたという石像をお譲りいただ
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