泡沫の島 4話「ユキ」
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私。ここで上手いこと言えばサヤさんが泣き止むはずだ。
と、とりあえず、できるだけ自分で思う優しい笑顔を浮かべてみる。……たぶんさっきよりもぎこちなく。
そして、極力変なことを言わないように意識して、そしてかつ素直に私は返事をする。
「誰も邪魔だなんて思ってませんよ。というか、私的にはむしろ居て欲しいというか、いないと困るというか……。」
「う、うあぁぁぁぁぁぁぁん!」
……私も泣きたい。何で悪化するんですか。コレどーすりゃいいんですか?詰みゲーですか?
マジ頼むんで分かる方、誰か教えてください。
そんなこんなで、もう下手なこと言わずとりあえず泣き止むまで待ってみました。
「もう、大丈夫ですか?」
「う、うん。ありがとユキちゃん。」
「まー私は別にいいですが。ただ…料理、冷めましたね。」
「う、うぅ。すまんです。」
「いえ、珍しいもの見れて良かったです。私料理温めなおしますんで、サヤさんは顔でも洗ってきてください。」
「うん、ありがと。」
そう言ってサヤさんは去っていった。
…………正直、疲れました。つーか、サヤさんが何で泣いたのか未だに分かってなかったり。
まーどうせくだらないことでしょう。例えば、私って居ても意味無い?とか。
とにかく、元気になって良かったです。
…シュウさん。正直あまり期待していませんでした。
私はあの時は既に楽しいことなんて諦めてました。ましてや笑うなんて考えもしなかった。
だからこそあの時、同じような境遇なのに楽しそうに笑うあなたが羨ましくて、憧れ、あなたを殺したくはなかった。
どうせどちらかが死ぬなら、それは私の方がいいと。
でも、私はあなたに誘われてからの毎日がすごく楽しいです。
あなたが誘ってくれなければ、私はいずれどこかで一度も笑うことなく死んでいたでしょう。
とても感謝です。抱かれてもいいです。むしろ抱いて。
ですから……あなたがあることを隠しているのを私は知ってます。
幸いサヤさんは気付いていないみたいですが、他の皆さんも何となく気付いてる節があります。
……………シュウさん。いつか、あなたの口から聞かせてもらうまで、その事については触れないでいようと思います。
ですから…………あーいや、やっぱいいです。
あなたの思う通りに生きてください。私はそれに従うと決めたのですから。
………でもサヤさんはあげませんよ?あの子は私の嫁にする予定ですから。
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