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泡沫の島
泡沫の島 3話「カズ」
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施設を選んだ理由も、頭のいい君なら察しが付いてるんだろう?」

 「……しかし…。」

 「この前みたいなのが嫌なら自分で制御することだ。…これは命令だ。全力を出しなさい。君に拒否権は無い。」

 「…………。」

 「返事が聞こえないな?」

 「……………わかり、ました。」

 「うん、よろしい。」

 そういうと狩野は満足そうに頷き、俺のほうへと歩いてきた。今度は俺の正面に立つ。

 「ということだから、悪いけどもう一戦頼むよ。」

 「……構いませんが、もしかしたら次は殺しちまうかもしれませんよ。」

 俺がそう言うと狩野は愉快そうに口の端を歪めた。……こいつも何か気にいらねぇ…。

 「いや、結構結構。その気でやってくれ。彼にはどうも危機感が足りなくてね。そのくらいじゃないと全力を出してくれないかもしれない。」

 「………殺す気でぶん殴ってもいい、と?」

 「あぁ。そうしてくれ。健闘を祈ってるよ。」

 そういうと奴は離れてまた腕を組み、先程と同じ状態で壁に寄りかかった。

 そして、先程と同じく対峙する。

 「…………次は全力で行くぜ。覚悟しろよ。」

 「…………ごめん…。」

 「あぁ?何がだ?」

 「二人とも行くぞ!?よーい…。」

 「たぶん、制御でき――――――」

 「スタート!」

 先程と同じく、いや、先程より早く俺は駆けた。奴はまだ何か言いかけている途中だったが、構うもんか。全力で、ぶちのめす!

 思いっきり腕を振りかぶり、その胸に目掛けて―――――

 「……Access. skill off。」

 「なっ!!」

 急に身体が重くなる。振り抜いた腕の速度も落ち、奴に難なくかわされる。
 
 「チッ!」

 俺は一旦距離を置く。

 「テ、テメェ!?一体何しやがった?」

 「…………。」

 「答えやがれ!」

 そう言って俺は能力を再び解放しようとしたが、

 「……何?」

 できない。力が出ない。何度もやってみたが結果は同じだった。

 「…………。」

 「テ、テメェ!これはテメェの仕業か!?」

 「…………。」

 奴の様子がおかしい。何と言うか、頭を押さえて苦しんでるように見える。

 「……control lost, returning access.…cannot access. system error,」

 「……?な、何、」

 俺は最後までその言葉を紡ぐことが出来なかった。突如、腹に強い衝撃を受けたからだ。

 呻く間もなく顔面を五指で
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