第43話:妹離れ
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
賢と伊織が和解の一歩を踏み出したことを喜びながら、ヒカリを八神家に送るために歩いていた。
因みにブイモンは先に家に帰っている。
「でも、おじさんと鉢合わせしないか心配だな」
「どうして?」
「いや、だって俺…この前、おじさんに滅茶苦茶睨まれてたしさ…」
この前もヒカリの家の前まで送っていったら、ヒカリの両親が出迎えたのだ。
ヒカリの母親、裕子はともかく…。
『どうも、おじさん。久しぶりです』
挨拶する自分の顔を見て、ヒカリの父親、進は明らかに、分かりやすく顔を顰めていた。
自分とヒカリがお付き合いしている仲だと知っているはずなので、多分改めて一緒にいるのを見て複雑だったのだと思う。
『君…大輔君…だよな…?しばらく会わないうちに大きくなったな…』
一応自分のことを覚えていてくれていたことには安心した。
『はい』
その時の大輔は普通に返したが、進は大輔の言葉に何も言わずに複雑そうに大輔を見つめていた。
その時の沈黙の痛々しさはまだ記憶に新しい。
「おじさんに嫌われてるな俺は…多分と言うか絶対」
「…そんなことないと思うけど」
ヒカリは苦笑いして大輔を見つめる。まあ、進の気持ちは大輔からしても分からないでもないのだ。
たった1人の可愛い娘に男が出来たことが気にならないわけがない。
いつか自分の元から娘を掻っ攫っていく輩が現れることを、父親はいつも危惧する生き物なのだと大輔は京の母親から聞いたことがある。
ジュンは…まず嫁の貰い手がいるのかが分からない。
「まず姉貴には家事の基本から叩き込まねえとな。いつか死人出すぞあれは…」
「あ…あははは…」
実際に実物を見たヒカリは苦笑いを浮かべるしかなかった。
しかもあれでまだマシなレベルだと言うのだから驚きだ。
ヒカリを八神家まで送り届けると裕子が出て来た。
「ただいまお母さん」
「お帰りヒカリ。それに大輔君も、いつもヒカリを送ってくれてありがとうね」
「いえ、俺はただ…ヒカリちゃんを危ない目に遭わせたくないから当然のことをしただけで…」
赤面しながらも言う大輔が微笑ましいのか裕子は笑みを浮かべながら見つめる……そんな3人を複雑そうに見つめる太一と進。
太一は最初は普通にしていたのだが、大輔と出掛ける際にお洒落に気合いを入れているヒカリの姿を見て改めて2人の関係を再認識した模様。
「大輔君、夕食うちでどう?」
裕子がいつもヒカリを送ってくれる礼に夕食を一緒に食べないかと勧めてくれたのだが…。
「「……………」」
裕子の後ろから自分を睨む太一と進の視線から大輔は居心地悪そうにしながら遠慮することにした。
「いえ、俺
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ