大神村の怪異
Part.3
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大神村に向かうバスは途中休憩もありましたが、それ以外は特にバスは長く止まることもなく目的地に到着しました。時間は内藤さんが言っていたとおり、正午12時15分です。
窓から外を見ますと、辺りに広がっていたのは緑一色。森の前にバスは停まっていました。バスのドア付近から降りれば、そこには森の中へと続く一本道。どうやらこの先に目的地があるようですね。
「皆様大変お疲れしました。お忘れ物がございませんようご注意ください」
内藤さんがそうアナウンスして数分も経たないうちにバスは停車。ドアが開きます。到着したようです。内藤さんが先導してバスから降りて、ドア付近に立っています。
「到着したみたいだな。降りよう。俺はバスから降りる」
「最前列に座っている私だけど立たないで待つわ。こういうときは後ろの席に座っている人間がみんな降りるのを待つのがいいのよ。混み合わないでスムーズに降りられるからね」
「言われてみればそうだな。俺も待つべきだったか」
「いや、ほら。私って有名人って設定じゃない? 私はタレントだから、こういう小さな気配りができるかできないかのイメージがかなり重要になってくるのよ。加えて私は大富豪スカーレット家の娘。私の行動の1つ1つがスカーレット家の沽券に関わるの。だからこうして慎重に丁寧に行動しているわけ」
「金持ちとか有名人とかって大変なんだねい……って私も元ネタ資産家の娘だったな。じゃあ私もレミリアを見習って後ろから順に降りるのを待つ」
「俺は気にせずに普通に降りる」
「私はお嬢様が降りるまで降りません。というか降りられません」
「悪いわね、咲夜」
「いえいえ、スカーレット家に恥じぬお嬢様のご振る舞いに咲夜は感激しております。流石でございます、お嬢様」
「そんなに褒めても何も出ないわよ」
「お嬢様がいらっしゃるだけで、咲夜は幸福でございます」
あの、そこの主従ロールプレイに徹している御二方、もうバスに残る乗客はあなた達しかいませんよ。
「あら、みんな出たようね。行くわよ咲夜」
「お供いたします。傘の準備をしつつ立ち上がります」
全員バスから降りたみたいですね。ではその様子を確認したバスの運転手はドアを閉め、バスを発進させます。
「バスはもう行っちまうのかい? と内藤さんに話しかける」
「明日にまた迎えに来てくれますよ。さぁ皆さん、この先少し歩きましたところが大神村でございます。私が先導いたしますので、はぐれないように後に続いてください」
と内藤さんは言いながらバスツアーの旗を片手に歩き出します。当然彼女に続くように他のツアー客たちは歩き出します。
「私も続くわ。2番目よ」
「では私は日傘を差してお嬢様に続くように歩きま
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