クロノスを喰らうもの
Part.8
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たよ。第三者で君にとっては完全な赤の他人である私の言葉など薄っぺらいものだと思うがね、あえて言わせてもらおう。実に不幸な人生だったようだねぇ。いや違うか。君は今でも充分不幸だぁ。むしろ悪化していると言ってもいい」
「……なんですって?」
「度重なる両親からの虐待を受ける子供というのはそれほど珍しいことはない。言い方は悪いがありふれた不幸にすぎないのだよ。だが今の君はどうだ。かつての君の両親以上に質の悪いカルト思考をした頭のおかしいキ○ガイな大人に捕まって洗脳されて、そして今が幸せ自分こそ特別な選ばれた人間と思い込む始末。君を引き取った大人たちが君のことをただの使い捨ての道具扱いしていることにすら気付かない。ああ、そういう意味では君は幸せ者なのかもしれないなぁ」
「こいつエグイ正論をさらっと言いやがる」
「だけどそれこそ古美門だねい」
あ、それ言っちゃいますか。その古美門の言葉を聞いた理子は、その虚ろな表情を崩します。その感情は《心理学》を振るまでもなく、怒りと憎悪であることがはっきりとわかります。
「お母様とお父様を馬鹿にしないで。お母様とお父様は私を助けてくれたのよ。どうして私ばかりがあんな酷い目に遭ってきたか……もうずっとずっと考えてきたわ。この顔の傷のせいで、どんなに酷いいじめを受けたか、あなた達に想像できるかしら? できないでしょう?」
「できないな。なにせここに居る全員、君と全く同じ経験などしていないのだからね。君の気持ちを1ミリたりとも外さずにピタリと理解できるなんてハナから思ってすらいない。だが君ばかりが酷い目に遭っているという認識は改めたまえ。さっき言っただろう? 両親から虐待を受けている子供など星の数を優に超えるほどいる。いや、両親がいないどころか、赤ん坊の頃から貧困街に捨てられてまともな食事すらできないような環境で今も尚生き続けている外国の子供たちもいるんだ。比較すべきことではないが、君と比べるとするならば彼らの方が酷い目に遭っていると言えるねぇ」
「黙れ。私はそいつらとは違うの。【クロノス様】が教えてくださったのよ。私は神に選ばれた特別な人間で、叡智を持たぬ猿どもには到底理解の及ばない崇高な存在なんだって。私が理不尽に痛みつけられ、踏みつけられ、虐げられ続けてきたのは、奴らが宇宙の真理を解せず、計り知れぬ私の器を恐れているからなのだとね」
「ちょっと何を言っているのかわからんぞ。日本人なら正しい日本語を使いたまえよ厨二病の電波娘くん」
「ふん。あなた如きに理解してもらおうなんて思ってない。私には使命があるの。【クロノス様】を地上にお招きし、歪んだ姿を本来のあるべき姿に正すという崇高な使命がね。【クロノス様】がこの世界に蠢く理不尽全てを正してくださるのよ」
「……ここで質
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ