第35話:帰還
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しかし、伊織達が賢を拒絶してチームワークが乱れるようならば、あまり考えたくはないが別行動を視野に入れなければならない。
「ふーっ、しばらくは問題山積みだな…とにかく…また明日な」
「うん…またね大輔君」
急いで自宅に向かう2人。
ヒカリは帰宅し、急いで自室に入り、服を着替えた。
流石に買った覚えのない服を着ていると怪しまれるからだ。
「よう、ヒカリ。帰ってたのか…って、どうしたお前?髪伸びてるし…背も少し伸びてないか?」
タイミングが良いのか悪いのか、太一が部屋に入ってきた。
「え、えっと…お兄ちゃん、これから私が話すことは全部本当だから驚かないで聞いて」
「…ああ……大事なことなんだろ?言ってみろよ」
真剣な表情を浮かべるヒカリに太一もまた真剣な表情を浮かべてヒカリの話に耳を傾けた。
一方大輔も自宅に帰ると大輔の姉のジュンが突っかかってきた。
「大輔、あんた何時までのんびり遊んでんのよ。あんたにお使い頼もうとしてたのに!!」
「おい、人が帰って最初に言うことがそれかよ…」
額に手を置いて深い溜め息を吐いた。
「あれ?あんた少しでかくなってない?少し声が低くなったような…」
「気のせいだろ、人を便利屋扱いしてるから間違えるんだろこの女子力0」
「何ですって!?父さんと母さんがいない時、あんたに美味しいご飯作ってんの誰だと…」
「父さんや母さんがいない時は俺が作ってたろ。家事関係で俺に偉ぶるなら卵焼き…いや、せめて目玉焼きくらい作れるようになるんだな、料理を作れば暗黒物質を生み出して、洗濯すれば服はボロボロ、整理整頓も俺以上に駄目駄目で京の姉貴の百恵さんからは同情までされてんだぞこっちは…」
「うぐぐ…だ、大輔の癖に…!!」
「ふう…で?買いたい物って何だよ?」
「え?行ってくれるわけ?珍しいー」
珍しい物を見たと言いたげなジュンに青筋が浮かびそうになるが堪える大輔。
その時、レインゾーンでのネネの言葉を思い出す。
『優しいのね大輔君。口は悪くてもきっと大輔君のお姉さんも大輔君のことを大事にしていると思うわ。だってこんなに優しい子なんだもの。きっとお姉さんも素直になれてないだけよ…。再会したら素直にお姉ちゃんって言ってみなさい?きっと喜んでもらえるわ』
「…………」
「じゃ、このお金で何時もの雑誌買ってきて。」
「分かった…じゃあ、行ってくるよ…………姉ちゃん」
「え?」
ジュンが振り返った時には既に大輔はいなかった。
「あいつ…今、“姉ちゃん”って…」
久しぶりに呼ばれたジュンは無意識に表情が綻んでいた。
「よし、たまには私があいつに何か作ってやるとしますか!!」
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