泡沫の島 2話「サヤ」
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これといって得意なこともない。あのカズでさえ筋力という取り柄があるのに。くそぅ。カズの奴め。憎たらしい。
一応あたしにも能力はあるが、使い勝手が悪い上に、アレやるとホント疲れる。ものすっごく。だから必要な時以外はあんまりやらない。
シュウ君は優しいからそんな能力がなくても変わらず接してくれただろうけど…やっぱり不安。時々、あたしなんかがこのメンバーと一緒に居てもいいのだろうかと思う。
あたしが居なくても…ううん。むしろあたしは足手まといじゃないんだろうか?
「……さん。サヤさん?」
「……ん、んぇ?」
「いつまでテーブル拭き続けるんですか?空が反射して見えるまでですか?」
「あ、あぁ!あたし、またボーッとして…。」
気が付けばテーブルはすごくピカピカになっていた。一体どの程度拭いたんだろうか。
「……テーブル磨きに精を出すのも良いですが、そろそろ料理を運んでくれると私としては超ハッピーなのですが。」
「あぅ。ごめんよぉ。今すぐやります。いや、やらせてください。」
あーうー。なんか今日はダメダメだー。色々考え過ぎちゃってるよぉ。
バカなあたしが出来ることなんて限られてるんだから、ちゃんとしなきゃいけないのに…。はぁ〜もう最悪だー…。
「……サヤさん。ちょといいですか?」
「んい?」
何だろ?あたしまたミスしちゃった?
「……サヤさんは、めちゃめちゃ面白いです。見ていてホント飽きません。」
「……あたし、今バカにされてる?」
「いえ、そんな気はちょっとしかありませんよ?」
「ちょっとはあるんだ…。」
がーん。やっぱ直接言われると…へこむなぁ…。
「えーと、そんなこと言いたい訳じゃなくてですね…。私はサヤさんの明るさに何度も助けられてるんです。」
「助ける?あたしなんかが?」
「えぇ、それはもう一人暮らしにとっての夜の半額シール並に。」
「ごめん、その例えはいまいちよくわからない。」
「サヤさんはよくやってくれています。私には無いものをサヤさんは持っています。ホント仲良くなれて超ラッキーって思ってます。ですから…。」
ユキちゃんはそこで一旦区切り、一呼吸置いてから柔らかい笑みを携えてこう言った。
「何も、心配するようなことなんてないんですよ?」
「…………。」
「……えー、と…サヤ、さん?」
「……ゅ……ゅ…。」
「ゆ?湯?」
「ユキぢゃぁぁぁぁぁん!」
あたしは胸に込みあげる何かを抑えることが出来ずに、たまらずユキちゃんに飛びつ
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