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神様が親切すぎて夜に眠れない
二話『愛川玄人という男』
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の際別によい)

問題は、何故俺はサービス終了日が決まったはずのユグドラシルに、『リアル』で来ているのか。

問題はここである。

正直、この姿は過労と睡眠不足で気絶する前に微調整していたモデリングなので、神様が気を利かせて『お気にいり』の姿に転生させてくれました、で済む。

(でも、なんで俺がユグドラシルに…………?)

先程、ユグドラシルを『好き』と言ったが、勿論玄人のような中小企業社員が、大手VMMOのゲーム作成に、メインとして関わった事実は無い。

あるとしたら精々、『アカウント申請』した際に正直に職業を書いたせいで、行った『末端売り子』くらいか。

変な疑いを…………つまりは他企業に対するスパイ行為をしてると思われないように、上長に許可を得た上で、運営にアカウント申請を行う際に自身の来歴を正直に書いた俺。

(まあ…………無理ならはねられるだろ)と、多少後ろ向きに考えていた俺の元には、アカウント登録完了メールと、もう一通のメールが。

開封したメールには、簡潔に言うと、御社の管理している全身モデリングを、ユグドラシル内で販売してみませんか?という内容が書かれていた。

結果、彼はユグドラシルで、一風変わった職業に就くことになる。

プレイヤー兼、全身モデリング販売者。

簡単に言えば、自社で作ったキャラクターのスキン(顔や衣服の立体写真のようなもの。パーツ別販売も可能)を売る事を許された、一風変わったプレイヤーとなったのだ。

(でもそれもオンリーワンでは無いからなあ)

膨大なフィールドとNPC、、職業スキル、種族スキル。
同様に無数にある魔法や技、アイテムに至るまで管理しているユグドラシルが、特にステータスに影響を与えないデザイン系統の一部を外注で済ませることは、非常に面倒くさい『商用に他社のキャラの類似品を売り無駄な裁判に発展する』ことを防ぐために有用な手だ。

(実際、スキップしながら言ったら、他社も沢山いたし)

そのため、『立場』が特別だから転生しました。も無し。

「なんかモヤモヤするなあ…………」

答えが出ない疑問ほど、心がやきもきする物はない。

無意識に呟いていたその言葉に、寝ていたはずのクレマンティーヌが瞼を開いた。

「ううん…………玄人ぉ、ねよーよ。明日は『アレ』を運ばなきゃいけないんだからさあ…………」

胸板に、豊満な乳房を押し付けながら、言うクレマンティーヌの暖かさに、玄人は思った。

(こんな良い思い出来たし、考えるの止めた!ありがとよ神様!)

そう胸中で礼を言うと、玄人はクレマンティーヌを抱き枕代わりに、寝ることにした。

解体し、纏めた『ソレ』の隣で。
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