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渦巻く滄海 紅き空 【下】
十九 開演のブザーが鳴る
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塵も疑う事もなく、デイダラの許へ向かい、彼と一戦を交えていたテマリとヒナタの前に立ちはだかった。

己の命を懸けてまで足止め役を遂行したものの、テマリの強さとヒナタの【白眼】には敵わず、起爆札で爆死したのである。彼女達をも爆発に巻き込もうとしたようだが、それは流石に無理だったようだ。
ナルトとしては、ヒナタを我愛羅の許へ近づけたくなかっただけなので、巻き込まれなくて良かったのだが。


何故なら【白眼】で視た場合、我愛羅が実際に死んでいないという事がバレる可能性があったからだ。
いくら巧妙に死を装って遺体に見せかけていても、チャクラの流れを把握できるあの眼で視られると、仮死状態だとヒナタに気づかれてしまう恐れがあった。


要するに、デイダラを見逃すように仕向けつつ、実際はヒナタの足止めが目的だったのである。
大木の幹に背を預けて、腕を組むナルトに、チラッと視線を投げた再不斬は「相変わらずお前の先見の明には頭が下がるぜ」と感嘆の吐息を零した。


「そううまくいかないさ。ストーリー通りにいかないのが、人生だよ」

白い蝶でさりげなく、仮死状態であった我愛羅の硬直を解き、止まっていた一尾のチャクラを循環させ、尚且つ、止まっていた心臓を動くように促す。

だからこそ、必ず死ぬはずの転生忍術を施したチヨが死なずに済んだのだ。
死者を生き返らせたわけではないからだ。





「サソリの実の祖母を死なせちゃ目覚めが悪いからな」
「あのカラクリ野郎がそんな殊勝なタマかねぇ」

面識はないものの、傀儡師として有名なサソリをカラクリ野郎と称する再不斬に、ナルトは苦笑を返す。


「口が悪くなったな、再不斬。多由也達の影響か」
「元々、俺はこんな口調だ」

むすっと顔を顰めた再不斬は「それよりいい加減、白達に顔を見せろよ」とナルトに文句を告げる。
「アイツら、二言目には「ナルトナルト」とお前のことばっか聞きたがる」と頭をガリガリと掻き毟る再不斬に、ナルトは苦笑いを口許に湛えた。



「世話を掛けるな」
「なにを今更」

ハッと鼻で嗤う再不斬の背後から、デイダラとサソリの気配を感じ取って、ナルトは片眉を吊り上げた。

いのとチヨからサソリを連れ出したナルトは、ナルの許へ向かう彼女達に見つからぬように彼らもまた、森へ向かったのだ。そうして、森奥に潜むデイダラを捜しに行くようにサソリに頼み込んだのである。

文句を言いつつも森へ消え去ったサソリを見送るや否や、こうして再不斬と落ち合ったナルトはこれからの計画等を手短に話し合っていたのだ。




「そろそろデイダラとサソリが帰って来る」
「わかった」

また連絡しろよ、と一言残し、再不斬の姿が掻き消える。
再不斬が、サソ
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