十九 開演のブザーが鳴る
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げ茶色の茶釜。どっしり鎮座して微動だにしない釜が、九尾の声に反応して、僅かに揺れた。
《そんなんだからお前はいつまで経っても三下なんだよ》
ガタガタガタ、と茶釜が揺れ動く。挑発に明らかに反応を示した茶釜に、九尾は畳みかける。
《一尾は九尾に劣るか!やはりワシの敵ではないわ!!》
カラカラと嗤う九尾の言葉を最後に、茶釜が大きく割れた。
中から煙と共に、怒りの形相で現れた一尾。
己と同じ尾獣に、九尾の口角が僅かに上がった。
「喧しい!!おちおち寝てられるか!!」
《寝てた?死んでたの間違いだろうが》
鼻息荒い一尾【守鶴】に、九尾は嘲笑を返す。だがその声音には満足気な響きがあった。
《寝汚ねぇお前のおかげで、ワシの宿主のチャクラが減る一方だ。さっさと起きろ》
一尾に目覚めを促して、九尾の意識がナルの許へ戻るのと、我愛羅の瞼がゆっくりと開かれたのはほぼ同時だった。
「我愛羅」
「…──ナル?」
起きた途端に、波風ナルの顔が飛び込んできて、我愛羅は眼を瞬かせた。
起き上がると拍子に、白い蝶がぱっと我愛羅から離れてゆく。
我愛羅は周囲を見渡した。
波風ナルと、畑カカシ。山中いのに、彼女に支えられて横たわるチヨの姿があった。
「──我愛羅!!」
ふと前方を見ると、カンクロウと、彼の部下達が駆けてくる。
カンクロウは弟の無事な姿を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
ヒナタといののおかげでサソリの毒を解毒してもらったカンクロウは、周囲の制止の声を押し切って、里を飛び出したのだ。だが、自分より先に我愛羅を助ける為に里を出たテマリとヒナタの姿が無い事に、彼は顔を顰める。
瞬間、森の奥で大きな爆発が聞こえた。
大きな地鳴りと共に、爆風が草原にも押し寄せてくる。
「なんだ!?」
カンクロウが爆発の発生源に眼を向けると同時に、爆風に押されるように誰かが森から飛び出してきた。
テマリとヒナタだった。
「テマリ…!?お前、なにやってんじゃん!?」
「私じゃない!!由良のヤツが…!」
煤だらけの顔を拭って怒鳴り返したテマリは、我愛羅の姿を認めると、顔を輝かせた。
「我愛羅!よかった…」
心の底から安堵の息をつく。
しかしながら、我愛羅の無事を確かめる前に、テマリはカンクロウと共にやって来た部下達に命じた。
「さっきまで戦っていた由良が自爆した」
何か残
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