第25話:憤怒
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大輔とタイキがキリハの言葉に反応して振り返る。
「奴らの静けさがだ。お前達はそうは思わないのか?俺達に包囲されるに任せて反撃どころか偵察に出る素振りもない。かと言って浮き足立って雑兵が逃げ出すような様子もない…。アルフォースブイドラモンの話から察するに…この戦争をバグラ軍が優位に進められたのは、“赤黒の双頭竜”の捜索でロイヤルナイツの多くが神界を留守にしている間に急襲し、デジタルワールドを多くのゾーンに分裂させることによってナイツを分断出来たからだ。裏を返せばその時点でロイヤルナイツ全員を相手取って、確実に勝てるだけの戦力をバグラ軍は持っていなかったことになる…この1年程の戦争で戦力を消耗し…ロイヤルナイツの約半数までもが連合軍に集結した今、戦局は奴らにとって極めて不利な状態にあると言えるだろう。それが何だ…?この静けさは!俺には皇帝バグラモンの思惑が読めん。起死回生の秘策を隠しているのか…或いは、戦争以外の勝敗以外に何か別の目的があるのか…」
「別の目的…ですか…」
「しっかし…前から思ってたけど、お前現代人の癖によくそんな戦争のことで頭がまわるよなあ」
「ふん、ガキの頃から親父の書斎にあった兵法書ばかり読んでたからな。」
ゼンジロウの言葉にキリハは鼻を鳴らしながら言う。
「「あんたみたいなのもちゃんと親から生まれたのねー」」
2匹のテイルモンの言葉に一同は苦笑か呆れてしまう。
「当たり前だ!もう亡くなったが、一代で巨万の富を築き上げたやり手の実業家で俺は尊敬していたんだ!!が…病気で父が死んだ時に年の離れた兄達が考えたのは少しでも多くの遺産をふんだくっていかに自堕落に生きてゆくかということだけだった…事業を受け継いで発展させてゆくべきだと言った俺は徹底的に蚊帳の外にされたよ。」
「どんだけの無能なんだよそいつら…モガモガ」
「こら、ブイモン」
ブイモンの口を咄嗟に塞ぐ大輔。
「構わん。まあ、無能な兄達のことなどどうでもいいが…今日明日の仮初めの安寧のために、進取の気性を失い…他人にも自分の心にも薄っぺらい嘘を吐いて魂を腐らせていくのが今の時代の処世術だと思うと、無性に虚しく…腹立たしくてな。その点、兵法と言うのは嘘がない。いつ死ぬか分からない時代に大望を抱いた人間の生き様は何処までも真摯だ。そんな折に俺はXローダーの声に導かれてこいつらに出会った。後は言うまでもない。ここで生き、戦い。自分がどれほどの高みまで至れるか挑戦し続け…いつかは死ぬ。俺にとっては理想の生き方だ!」
「(…だが、最近のキリハは少々変わってきた。人間の中にも自分と同じように真摯に自らの生きる道を…探し続けている者がいることに気付き始めている…)」
キリハの言葉にすぐ傍でキリハを見てきたメイルバー
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