第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
得たもの、失ったもの
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だ。
ネジだってそうだったのだろう。宗家の為にあっさりと影武者にさせられてしまう分家の命は一体なんなんだと、どうして父は死なねばならなかったのだと、沢山の疑問符を抱え、そして彼はそれを運命と名づけた感嘆符で一掃することに決めたのだろう。
「一人ぼっちの……孤独は、半端じゃ、ねえよな……」
一人寂しげに落日を眺めるサスケの姿や、自分が再不斬に尽くす理由を語った白の顔や、何故ヒナタにそこまでしたのかと咎める自分たちに向けてきたネジの目や、サスケやサクラを傷つけこちらに向かってくる我愛羅の瞳の狂気の奥が脳裏に浮かぶ。
暗く淀んだ水底は息苦しく、辛い。
「なんでかなあ、お前の気持ちは……痛いほど、わかるんだってばよぉ」
不意にナルトの瞳が潤んでいることに気づき、我愛羅は息を呑んだ。ナルトはとどめを刺しにきたのだろうとばかり思っていたのに。
「でも、今の俺にはもう……大切な人達が出来たんだ」
ぐっと体を起こす。
「俺の大切な人たち……傷つけ、させねえ……!!」
もしやったら、自分が死んでも、お前を殺してでも、止めて見せるぞと強い決意を秘めた目でナルトは言い放つ。なんで、と我愛羅の口から疑問符が零れた。
「お前はそんなに、他人のために戦うことができる……!?」
だって彼らは、ただ同じ里の仲間ってだけじゃない。
暗く淀んだ水底から引き上げてくれ、水面まで泳ぐ術を教えてくれた、大切な大切な仲間なのだ。
「…………」
我愛羅は夜叉丸の姿を思い出した。今までは「優しそうな」というだけで具体的な顔を持たなかった夜叉丸の顔がはっきりと思い出される。もう彼を憎いと思う気持ちは残っていなかった。
ただわかったのは、ナルトは――愛するものを守りたいと、大切なものを守りたいと、そう思うが故に強いのだと。そう思うが故にもっともっと強くなりたいと、思えるのだと。
そう、思えた。
「もういい、ナルト」
這って進み続けるナルトの前に、サスケが飛び降りた――のと同時に我愛羅の傍に二つの影が飛び降りる。シノとキバに倒されたカンクロウと、チョウジとシカマルに倒されたテマリだった。自分の弟を傷つけた者たちをキッと睨みつけ殺意を丸出しにする二人に、我愛羅は消え入りそうな声で言う。
「もういい……やめだ」
「我愛羅」
カンクロウがいい、二人が振り返った。始めてみる弱りきった弟の姿に二人は目を見開き、やがてカンクロウが「わかったよ」と呟いた。我愛羅を支えて立ち上がる。サクラを負ぶって着地したチョウジにシカマルがすっと目を細めた。
カンクロウが、言った。
「テマリと我愛羅を生かしてくれてありがと……じゃん」
本来ならば殺されても何の文句も言えなかった自分たちだ。け
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