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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
得たもの、失ったもの
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綱手と自来也の姿に、大蛇丸は目を細めた。二人がくっと歯を食いしばる。自来也が綱手に視線を交わす。頷いた綱手がユナトと三代目の元へと駆け寄り、どけ、といった。

「治療するッ……」
「……無理よ。老いぼれは死んだわ――『屍鬼封尽』を使い、私の腕を奪って、ジャシンに、死神に魂を取られて死んだわ」

 だらりと力を失った両腕を下げながら大蛇丸が言った。自来也がそんな大蛇丸をキッと睨みつけて印を組み始め、綱手がユナトを振り返って、まるでそれを否定してほしいとでもいうような顔をする。

「……言ってることに、間違いはないです……私じゃ、私の術じゃ結界を破ることができなかった……私はただ『聴』いてることしか出来なかったです……ごめんなさい……ごめんなさい……! ずっとずっと聞こえてた……ッ! 何から何まで! でもわたし、何も出来なかった……あの時と同じで……!」

 三代目の冷たくなった胸元に頭を埋めながら涙を零し続けるユナトの姿に綱手は言葉を失う。振り返った先で、自来也が火遁を繰り出した。

「大炎弾――ッ!!」
「土陸返しッ!」
「粘金の盾!」
「羅生門!!」
「水陣壁!」
「百物語!」

 大蛇丸の前に立ちはだかったのは、音忍たちだった。
 オレンジ色の髪の少しふとめな男――次郎坊が土遁を繰り出し、六本の腕を持つ者――鬼童丸が金色の盾を作り上げる。二つの首を持つ水色の髪の少年が鬼の形相の門を召喚し、鬼灯弦月の水遁が突如として飛沫をあげる。がっと地面から飛び出た蜘蛛の足が自来也へと襲い掛かる。
 一瞬の隙を作り上げただけに過ぎなかったが、それでも充分だった。蓮助とカブトが大蛇丸を支えて遥か青空に飛び上がり、大蛇丸を狙い打つ木ノ葉の忍び達をその他の者たちがなぎ払っていく。
 砂忍と音忍がそれを見て一斉に退散しはじめる。
 そして後には、破壊された木ノ葉と、死体と、ユナトの悲痛な泣き叫ぶ声だけが残った。

 +

 ざらり、と砂が瓦解する。落下するサクラを受け止めて木の上におろし、サスケはチョウジとシカマルに「サクラを頼む」と短く一言、告げた。二人が到着していることに驚く暇もないまま、サスケは飛び上がる。はあ、とシカマルが溜息を吐いて、ホルスターから治療用の道具を取り出した。

「チョウジ。応急処置、やるぞ」
「うん。わかってる、シカマル」

 医療忍者じゃない分上手くやれないが、やらないよりはマシだろう。いままで木ノ葉の方からずっと聞こえていた破壊の音は聞こえない。

「終わったのかな……全部」

 チョウジの不安げな声。いいや、とシカマルは首を振った。

「これからだよ」

 +

 なぜ、と我愛羅の脳裏は再び疑問符で埋め尽くされた。あそこまで鮮明だった感嘆符はナルトが自分に頭突きを食
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