94部分:第七話 聖堂への行進その一
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第七話 聖堂への行進その一
第七話 聖堂への行進
王は庭にいた。そこで薔薇を見ていた。
紅の薔薇達が緑の中に咲き誇っている。数えきれないまでの薔薇達は咲き誇りだ。そのうえで王を囲んでいた。王はそれを見ながら一人佇んでいた。
しかしそこに誰かが来た。それは。
「そこにおられたのですね」
「シシィ」
皇后だった。彼女が来たのであった。
白い、エーデルワイスを思わせる服を来てだ。王の前に来てだ。こう告げてきたのである。
「薔薇を見ていましたね」
「嫌いではありません」
今は皇后に顔を向けて答えた。
「美しいものは」
「けれどそれよりもですね」
その彼にだ。皇后はこう言ってきたのだった。
「青い花がですね」
「そうですね。青です」
「貴方は昔から青が好きでしたね」
「いい色です」
そのあまりにも美麗な顔に微笑みを浮かべてだ。王は話した。
「バイエルンの色です」
「ええ。バイエルンの色は青」
「オーストリアは金」
「それぞれの色がありますね」
「私は金も好きです」
王は微笑んだまま皇后に話した。
「赤と黒よりも遥かに」
「それは私がいるからですか?」
皇后は王が赤と黒、血と鉄について言及したところで王に問うた。
「だからですか?」
「そう思われますか?」
「少なくとも貴方は」
王は。どうかというのであった。
「プロイセンはお好きではありませんね」
「黒には馴染めません」
これがプロイセンの色であった。実際にプロイセン軍の軍服は黒であった。ナポレオン時代、いやオーストリア継承戦争の頃からの色だ。
「それはどうしても」
「ビスマルク卿は貴方を高く評価しているようですが」
「あの方は嫌いではありません」
それは認める王だった。
「ですが。プロイセンはです」
「どうしてもですか」
「冷徹な現実」
王はこの言葉を出した。
「あまりにもです」
「そこには夢はない」
「あるでしょうが少ないです」
そうだとだ。皇后に話すのである。
「それがどうしてもです」
「そうなのですね」
「夢。それは夜に見られるもの」
王はまた遠い目になった話した。
「夜を否定するようなプロイセンにはどうしても」
「オーストリアはそうではないと」
「はい、ですから私はです」
今度はまた皇后を見てだ。話すのであった。
「オーストリアを選びます」
「有り難うございます。陛下もお喜びです」
「はい。では」
「ただ」
しかしだった。ここで皇后をは王を見ながらだ。また話すのだった。
「貴方は動かれませんね」
「私が動かないと」
「オーストリアについても」
それでもだというのである。
「貴方は動きませんね」
「そ
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