658部分:最終話 愛の死その九
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最終話 愛の死その九
「散策に出掛けましょう」
「では今から」
こうしてだ。王はグッデンと共に散策に向かう為にだ。部屋を出た。その王を見てだ。
ホルンシュタインは顔をあげられなかった。例え王の為にしているとはいっても後ろめたさがあるからだ。その王が彼の横を通る。するとその時にだった。
王がだ。その彼に言ったのである。
「わかっている」
「!?」
声を出さなかった。しかし心で言ってしまった。その彼にだ。
王はだ。通り過ぎながら告げたのである。
「誰も。卿も私への敬意と愛情があるのだ」
ホルンシュタインもルッツも、そしてグッデンもだというのだ。
王もそのことはわかっていた。そのうえでの言葉だった。
「それ故のことだということはだ」
「・・・・・・・・・」
ホルンシュタインは思わず唖然とした顔になりだ。顔をあげた。
そしてそのうえでだ。王に顔を向けた。その彼にだ。
王は前に進みながらだ。告げるのだった。
「だが。私を理解してはいなかった」
「理解・・・・・・」
「そのことだけを残念に思う」
こう言い残してだ。王はその場を後にするのだった。そうしてだった。
グッデンと二人で城の外に出た。その王の姿は。
湖に小舟を出すホルンシュタインからも確認された。そのうえでだ。
彼はだ。共にいるベルリンから来た同志の一人にだ。こう言ったのである。
「陛下が来られました」
「はい、遂にですね」
「なら今すぐに」
ホルニヒはオールをこぎながらだ。そのうえで言うのだった。
気持ちが自然に焦っている。その彼にだ。
同志はだ。こう言って彼を止めようとする。
「待って下さい、出過ぎています」
「出過ぎて!?」
「はい、湖の中にです」
雨の湖の中の視界を遮るものは何もなかった。それ故にだった。
「もっと端に寄りましょう」
「水草に隠れてですか」
「はい、さもないと見つかります」
彼等がだ。そうなるというのだ。
「そうなっては元も子もありません」
「それはわかっています。ですが」
「ですからもう少し端に寄りましょう」
「陛下がそこにおられるというのに」
湖のほとりを二人で歩く王を見続けながら。ホルニヒは必死の顔で同志に話す。
「それでもなのですか」
「この行動は成功しますから」
「だから焦るなというのですか」
「はい、そうです」
それ故にだというのだ。
「今は慎重にです」
「慎重に進みですか」
「バイエルン王に近付きましょう」
「そうするべきなのですね」
「焦りは禁物です」
それはくれぐれもだというのだ。
「だから宜しいですね」
「わかりました」
ホルニヒは同志の言葉をだ。焦る気持ちの中で何とか抑えた。そのうえでだ。
小舟を湖
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